台湾産日本酒「玉泉」を味わってみた!現地の酒造メーカーや飲酒習慣から見る日本との違い
掲載
国税庁の調査によれば、日本の酒蔵は全国で1400以上ありますが、日本酒は日本だけで造られているわけでは限りません。「月桂冠」のようにアメリカに工場を持つ日本メーカーもあれば、ニュージーランド「全黒」のように現地の人が思い立って酒蔵を立ち上げることも増えてきました。
日本酒の海外輸出のお得意先である台湾でも日本酒が造られています。日本を除けば韓国、アメリカ、中国と並んで日本酒を多く製造している国なのです。台湾で、日本酒に限らず、ビール、高粱酒(コウリョウジョウ)など、国内の造酒シェアのほとんどを占めているのはTTL(臺灣菸酒股份有限公司)です。TTLは元々国営企業でしたが、2002年より民営化されました。台湾は高関税なので、一般人が輸入酒を気軽に楽しむのはまだまだ難しいため、多くは国産のお酒を購入しています。
先日、台湾・台北に立ち寄る機会がありましたので、コンビニエンスストアで売られていた台湾産日本酒「玉泉」を購入しました。720mlが150台湾元(当時のレートで日本円にして700円弱)ほどです。日本の酒造メーカーの指導を受けて製造された日本酒だそうで、使用している米は「蓬莱米」。日本統治時代に台湾で品種改良された品種で、お酒に限らず日常でも食用米として使われています。
「玉泉」はアルコール度数も13.5度と、日本産の同タイプと比べて若干アルコール度数が低いです。冷やで飲んでみると、マイルドな口当たりと水っぽさを舌で感じました。表面だけでなく奥まで柔らかい感じで、日本産のガツンとくるインパクト、酸のシュワシュワ感、ズシンとくる重さのお酒に慣れていると、やや物足りなさを感じるかもしれません。
しかし、滞在中に味わった牛肉麺と小籠包とはマッチングしそうな味わいでした。もし日本人好みの味わいを求めるのでしたら、常温では味わいの奥行きが広がったので、熱燗にして飲むのが良いかもしれません。
ちなみに台湾にはTTL以外にも、民間で造られた日本酒に「初霧」があるそうです。コンビニエンスストアなどですぐ購入できるお酒はほぼTTLでしたので、旅行に行く際は買える所を事前に調べて行く必要がありそうです。また、台湾では居酒屋で日本酒を飲む習慣があまりないため、ほとんどの人は宅飲みです。何とか美味しい屋台料理と日本酒のマッチングをするチャンスを模索したい。