酒と鮨の千一夜・第十一夜 ~夏の奇跡3×3×3×3 鱧と鍋島~
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令和元年五月十一日、高松すし秀カウンターにて夏の奇跡の3×3×3×3が揃いました。夏の奇跡をお送りいたします。さて、4個の3が何なのか、ご説明いたしましょう。
先ず、本日の握りのメイン鱧、鱧の湯引きを梅肉、酢味噌、本山葵の赤黄緑の三種類でいただきました。次に合わせるお酒は鍋島、その鍋島の山田錦、雄町、愛山の三種類が揃いました。更に夏の長物、鱧、鰻、穴子の三種類が揃いました。最後の3は調理方法となります。鱧は湯引き(握り)、鰻は白焼き、穴子は蒲焼きでいただきました。もっとも食べた順番は穴子、鰻、鱧と入りました。
若干ややこしくなりました。整理いたします。
①鱧梅肉、鱧酢味噌、鱧山葵
②鍋島愛山、鍋島山田錦、鍋島雄町
③鱧、鰻、穴子
④鱧湯引き、鰻白焼き、穴子蒲焼き
では、夏の奇跡の3×3×3×3、メインは鍋島愛山と鱧湯引き握り梅肉添えでまいります。
鍋島愛山
鍋島公式HPより
「自然体のお酒」
単に「香りが高い」「辛い」だけでなく、
やさしく五感を刺激し馴染んでいく
「自然体」のお酒を目指しています。
実際、鍋島は香り高くそのフルーティーな味覚は卓越したものです。
今回は、愛山、山田錦、雄町と揃いましたが、私は愛山を中心の飲ませていただきました。
愛山は1949年に兵庫県で育成されました。酒米の王様、山田錦と雄町を祖父母とし、その両親の名前一文字ずつをとって「愛山」と名付けられました。
栽培が難しいこともあり、生産する農家も少なかったのですが、灘の剣菱が契約栽培を続け、この品種を守り続けてきました。
濃醇な酒になりやすいのですが、米の特徴をよく把握して上手に造ると独特の風味のある酒が出来ます。
近年多くの酒蔵注目、需要が急増していますが、高価格な酒米でもあります。
愛山で醸した酒の特徴
非常に溶けやすい米のため、味が多くなりがちになります。
濃醇な米の甘みが感じられる旨味の多い酒です。酸度もやや多いため飲みごたえのある酒質になりがちですが、各メーカーとも米の特性を把握してバランスの取れた酒に仕上がっています。
鱧
沿岸部に生息する大型肉食魚で、京料理に欠かせない食材として扱われる
名前の由来には、食む(はむ)に由来するとみる説、「歯持ち」に由来するとみる説、中国語の「海鰻」(ハイマン)に由来するとみる説、マムシに姿が似ていたことから蝮(ハミ)に由来するとみる説、食感が「はもはも」しているから、という説、口を張ってもがくことに由来するとみる説など諸説ある
地方名にハム(広島県)、スズ(徳島県)、バッタモ(京都府丹後地方)、ウニハモ(福井県)、カマスアナゴ(長崎)など。
生態
全長1mほどのものが多いが、最大2.2mに達する。体は他のウナギ目魚類同様に細長い円筒形で、体色は茶褐色で腹部は白く、体表に鱗がない。体側には側線がよく発達し、ウナギ目の中では各ひれがよく発達していて、背びれは鰓蓋の直後、尻びれは体の中央付近から始まって尾びれと連続する。胸びれも比較的大きい。
口は目の後ろまで裂け、吻部が長く発達し、鼻先がわずかに湾曲する。顎には犬歯のような鋭い歯が並び、さらにその内側にも細かい歯が並ぶ。漁獲した際には大きな口と鋭い歯で咬みついてくるので、生体の取り扱いには充分な注意が必要である。ハモという和名も、前述のようによく咬みつくことから「食む」(はむ)が変化した呼称という説もある。
西太平洋とインド洋の熱帯・温帯域に広く分布し、日本でも本州中部以南で見られる。
水深100mまでの沿岸域に生息し、昼は砂や岩の隙間に潜って休み、夜に海底近くを泳ぎ回って獲物を探す。食性は肉食性で小魚、甲殻類、頭足類などを捕食する。
産卵期は夏で、浮遊卵を産卵するが、ウナギのような大規模な回遊はせず、沿岸域に留まったまま繁殖行動を行う。レプトケファルスは秋にみられ、シラス漁などで混獲されることがある。
京都と鱧
京都市では、生活に密着した食材で、スーパーにおいても鱧の湯引きなどは広く販売されており、安くはなくとも、季節の食材として扱われている。特に祇園祭の暑い季節に長いものを食べると精力が付くとして、鰻同様に食べる風習があり、夏の味覚の代表的なものとして珍重される。家庭で「骨切り」をすることは難しいが、鮮魚店で骨切りをして、生で売ることも普通である。
大阪市の天神祭でも鱧料理は欠かせない。
京阪以外の地域では、味は良いが骨が多く食べにくい雑魚として扱われ、蒲鉾や天ぷらの材料として使われてきた。特に大阪などの蒲鉾屋では身を使った後のハモの皮が売られていることがある。
一方、関東など東日本では京料理を提供する高級日本料理店以外ではあまり目にかかることはなく、生活に密着した食材とは言えない。このような店で出される食材のため、高級魚というイメージもある。消費量も関東の鱧消費量は関西の十分の一程度であり、関西と関東の文化の違いが現在に至るまで如実に現れている食材の一つである。同様の食材としてはフグ・クエ、逆に東日本で人気の高い食用魚としてマグロなどがあげられる。
大分県中津市でも特産品としてよく消費されており、JR中津駅には鱧をデザインした長いベンチも置かれている。
京都において、何故ハモを食べる文化が発達したかについては、生命力の非常に強い数少ない魚であるため、輸送技術が発達していなかった時代でも、大阪湾や明石海峡で採れたハモを、夏に内陸の京都まで生きたまま輸送できたからだといわれている。
また、一説には養蚕が盛んで京都へ絹糸を供給していた大分県中津市の行商人などが京都へ食文化を伝えたとも、一説には中津藩が隣接する天領日田に招聘されていた京の料理人が往来の途中に隣国中津の漁師から「骨切り」の技術共々を教えられ持ち帰ったとも言われており骨切り技術の発祥地である中津の料理人が伝え現在につながっている。
中国ではハモは生命力が強く、薬膳的な効能としても益気作用~“気”のエネルギーを高めるとともに胃腸機能を良くする作用があるとされるほか、利尿作用もあるとされている。
おしまいのページで・・・
さて、鱧、鰻、穴子とこれから巡り来る夏を楽しみに待ちながら、本稿を書いていますのは、令和元年七月二日、夏至から半夏生を迎える頃であります。半夏生の風習を二つ。
①近畿地方の一部地域では蛸を食べる習慣があり、近畿地方各地の小売店が盛んに販売促進活動を展開している。2017年より、日本コナモン協会では、たこ焼きをはじめタコのお好み焼・焼きそば、唐揚、タコ天うどんなどを促進する「蛸半夏生キャンペーン」を行っている。
②讃岐の農村ではうどんを食べる習慣があり、1980年に香川県製麺事業協同組合が7月2日を「うどんの日」に制定している。
私の暮らす四国讃岐は瀬戸内海に面し、絶品の蛸を食らうことができます。そして、讃岐うどんの本場。
蛸と饂飩と両方美味しくいただける名店をご紹介いたします。善通寺市「ジャンボうどん高木」熱々の釜揚げをすすり上げ、熱々の蛸おでんをかじれば、五臓六腑に温もりが染み渡り、梅雨の不快感も一掃されます。半夏生はジャンボうどん高木で、釜揚げと蛸おでん。来年はぜひ、讃岐路でお待ちいたしております。
令和元年七月二日半夏生の夜。