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酒と鮨の千一夜 ~第十夜・幻か日本一か赤うに&醸し人九平次human~

掲載

「男性でも女性でもない。国境や民族や文化でもない。そんな、すべての境界を飛び越えていける日本酒でありたい。」
そう志して醸しました。
軽やかに、高らかに、笑い声が降り注ぐ。 そんな純米大吟醸になりました。
(醸し人九平次公式HPよりhumanの商品紹介)
いよいよ満を持して、九平次humanの登場です。合わせますは、日本一美味いと言われる利尻礼文の島うにこと蝦夷バフンウニと幻と言われる赤うにことヒラタウニを四国小松島和田島から取り寄せていただきました。

赤うにを食べ比べる前にウニ専門店小林商店の赤うにについての解説を読んでいただきたい。

赤海胆(アカウニ)

東京湾から南方、 特に九州沿岸しかも西側に生息する温帯性のウニです。 産卵期は10月~11月で他のウニとは時期が異なります。 殻の特徴は真横から見ると扁平な形をしていて棘は短く、直径は5~8cm。  水揚高は年々減少しており、まさに希少種となりました。 食通の間では、本種が最も美味とされ、高値で取引されているウニです。

幻のウニと呼ばれて

各産地での需要が高く、九州外にはめったに出回ることがないことから、東日本では幻のウニと呼ばれ、 ほとんど知られることがなかったウニの種類です。 「赤うに」という名が表すように殻が朱色で濃厚な甘みが特徴です。
赤ウニが最も美味しくなる時期は、産卵前の10月中旬で、小林商店ではこの間に粒赤ウニを作ります。

産卵後、赤ウニは身に苦味がでてくるようになり、風味が落ちてしまう為、翌年まで休漁となります。 一年のうち漁期は3ヶ月余りしかなく、 最も美味しい時期は15日程しかないというごく短い期間限定の味です。

ウニの風味は獲れる海域や餌でも大きく違います。 長崎では 、平戸産の赤雲丹が最上とされており、 私たちは平戸産の赤ウニに大いにこだわります。

赤うにと紫うに
赤うにの生息地
アカ雲丹は、ムラサキウニと比べて水深の深いところに生息しており、 なおかつ岩等の下に潜りこんでいます。 ですので熟練の漁師さんでも獲ることは容易ではなく、 さらに少しでもキズをつけてしまうと、あかうに自ら体中のトゲをすべて外してしまい、死んでしまいます。 獲りにくい上に非常にデリケートな海胆だといえます。

北海道にも赤うにが?
北海道で赤うにと呼ばれているのは、エゾバフンウニのことで、身がオレンジ色をしていることからそう呼ばれています。 本種とは違います。

又、キタムラサキうにを北海道では白うにと呼ぶことがあります。
アカウニの漁期初夏から秋

以上、いわゆる本州以西で言う幻の赤うには殻が朱色のヒラタウニを指し。北海道の一部でいう赤うには身がオレンジ色の蝦夷バフンウニを指す。従って今回は四国の赤うにと北海道の赤うにとの食べ比べとなった。ちなみに添付画像(実際に食した時の画像)オレンジ色の濃い色が、日本一美味しいと言われる利尻礼文の蝦夷バフンウニ。黄色の淡い色が、幻と言われる赤ウニ(ヒラタウニ)徳島和田島産

醸し人九平次 human

合わせるお酒はこれしかありません。
「男性でも女性でもない。国境や民族や文化でもない。そんな、すべての境界を飛び越えていける日本酒でありたい。」そう志して醸しました。
軽やかに、高らかに、笑い声が降り注ぐ。 そんな純米大吟醸になりました。(同蔵元公式HPより)
醸し人九平次human は、私を日本酒の魔性の世界へ導いてくれた師たる銘酒です。すべての境界を飛び超えるBORDERLESSと言うことは、合わせる食材も魚、肉、野菜、果実すべての垣根を超えるお酒と私は確信しております。まさに濃厚な味わいの極みと言うべき海胆に合わせるお酒はこれしかありません。では、ヒラタウニ、蝦夷バフンウニ、それぞれを見て行きましょう。

幻の赤うに(ヒラタウニ)

赤ウニは、太平洋側では銚子から九州、日本海側では津軽海峡から九州、さらには韓国済州島一帯に生息する温帯性のウニです。
殻を含めた直径は5~8cm位で、殻の特徴は真横から見ると殻を上下に押し潰したように平たく扁平な形をしています。(このことから、ヒラタウニという別名で呼ばれているところもあります。)
棘は細くて短く、色はその名前の通り赤褐色ですが、なかには淡紅色や紫色のものもあります。
生息している場所は、ムラサキウニと比べて水深が深く主に潮下帯から水深30mから水深5m程度の礫の広がる所や、転石帯の岩石などの下に潜り込んで生息していることが多く、岩礁帯で見られることは少ないです。
赤ウニの主食は、海藻類のなかでも寄り藻を好んで食べています。
赤ウニの可食部は未成熟期の卵巣と精巣ですが、10~11月の産卵期(本州中部での産卵時期)が近づくと苦味が生じて食べられなくなるため、赤ウニを食する旬の時期は夏です。
その味は、西日本で食べられるウニ類(アカウニ,バフンウニ,ムラサキウニ)のなかでも特に美味しいといわれています。
天然の赤ウニは、海の深い所で生息していることから獲ることが難しく、 とてもデリケートなために少しでも傷ついたりすると、体中のトゲが外れですぐに死んでしまいます。
ですから赤ウニの水揚高は少なく、食通の間でも人気の天然の赤ウニは幻のウニと呼ばれて高値で取引される高級食材となっています。

日本一の蝦夷バフンウニ

夏の旬を迎え、味覚の楽しみといえば橙色に輝くウニ!
その中でも絶品のウニが獲れるのが北海道稚内市から旅客船で約2時間のところに位置する礼文島と利尻島。この最果ての島で「日本一のウニ」を食すことができます。「ウニ」は様々な種類のウニがあるのですが、礼文・利尻島で獲れるウニは鮮やかな橙色に輝き、甘味が強い「エゾバフンウニ」が主です。
初夏~盛夏のわずかな間だけ、日本海で行われるうに漁。うにの味は「昆布の質で決まる」と言われます。
日本最北限の島、利尻・礼文島は、北海道有数の漁場として知られていますが、昆布も例外ではありません。リマン海流と対馬暖流、2つの大きな海流の恩恵を受け、この海域は栄養分が豊富。また、利尻山などからの雪解け水が川へと注ぎ、山の養分を海へと運ぶため、利尻昆布が茂る豊かな海をつくっています。旨味の塊・利尻昆布をたっぷり食べて育つため、利尻・礼文産のうに、特にエゾバフンウニは味わい豊かです。口の中で広がるとろけるような深い味わいと、磯の風味を堪能できます。平成17年利尻礼文の蝦夷バフンウニは「島うに」としてブランド化されました。

ウニを表す漢字にこめられた意味とは。

ウニを漢字で書くと「海胆」や「海栗」、そして「雲丹」といったいくつかの単語に分けることが出来ます。
これらはいずれも同じウニを指す漢字ではありますが、それぞれの単語が持つ意味はいずれも異なっています。
まず「海胆」と「海栗」。この2つの単語はいずれもウニという言葉から思い浮かぶような新鮮で甘くて濃厚な味わいの生ウニを指す言葉です。
「海胆」の場合はそのウニの持つ美味しさと貴重性が丸で生き物の胆、即ち肝臓のようであったことから海の胆と書いて「海胆」と呼ばれるようになったのですね。
しかし普段我々が食べているウニのオレンジの部分はウニにとっての胆ではありません。あれは精巣や卵巣、即ち生殖巣でありウニが産卵のために必要な栄養を溜め込む部分なのです。なので産卵時期の近いウニほどより大きくて濃厚な旨みを持つという特徴が知られています。
一方で「海栗」の場合はウニの外見がまるで栗のようであることから海の栗、即ち「海栗」と呼ばれるようになったわけです。実際、栗とウニではそのトゲを持つ強固な外殻で重要な中身を外敵から守っているという見た目どおり同じ特徴を持っています。
そんな大事な中身を人間はあっさりと美味しく頂いてしまうのですから何だか申し訳ないような気もしますね。
さて、「海胆」や「海栗」がウニそのものを指すのに対し「雲丹」はウニそのものではありません。「雲丹」は元来生ウニを塩漬けした食品でありウニを素材としながらもウニとはまた異なった立派な食品の一つです。
また今では塩漬けの他にアルコールを使用したウニの瓶詰め製法も代表的なものとなり今ではウニを加工した食品を「雲丹」と呼ぶようになっています。
そんな「雲丹」の歴史は古く、その発端は江戸時代にまでさかのぼるとされています。当時既に生ウニは濃厚な旨みを持つ食材として漁村などで親しまれていましたが、当時の保存技術では漁港以外で口にするのは難しく様々な保存方法が考えられてきました。
その中でより保存力に優れた塩漬けがウニの保存製法として定着し、「雲丹」として広い地域で親しまれるようになったのです。
現在では炊き込みご飯や、雲丹醤油など実に様々な食品に「雲丹」が使われています。「雲丹」の発明より元々のウニの美味しさをより多彩に楽しめるようになったと言えるでしょう。
このように同じウニという読みを持つ単語であっても、それぞれの単語が持つ意味は異なっています。
しかしいずれの単語であってもウニが持つ旨みと貴重性によって付けられた漢字であり、ウニという食材が持つ凄さを表していると言えるでしょう。

おしまいのページで・・・

今回の海胆は「日本一」と「幻」と言うものでした。世間で日本一と呼ぶもの、幻と呼ぶものを比べると圧倒的に日本一をつける方が多いような気がすします。(実際はしらないが笑)そこで、「幻の魚」で検索してみました。上位にあったのは、北海道のイトウ、四万十の赤目、東北山中のタキタロウ(岩魚)なんとなく共通性のありそうな感じでした。その乗りで行くと、私が十五年ほど前に暮らした徳島剣山系の町貞光で知った「サツキマス」これも知名度が低いだけで十分に幻の魚と言ってよいなって感じです。
サツキマス(皐月鱒、Oncorhynchus masou ishikawae)は、サケ目サケ科に属する魚
日本の固有亜種でサクラマスの亜種とされる。降海型や降湖型はサツキマス、河川残留型(陸封型)はアマゴと呼ばれます
アマゴは、サツキマスの河川残留型(陸封型)個体である。30cm程度になるとパーマークが薄れる個体もある。降海型と見分けがつかなくなるため、この場合は塩類細胞(エラにある海と淡水を行き来するのに必要な細胞)の数で決定するしかありません。雄の場合、成魚になると雄のサケに見られる「両あごが伸びて曲がり込む」鼻曲がりのような状態になる個体もまれにあります。
このサツキマスの話を初めて聞いたのが、15年ほど前剣山系貞光町(現つるぎ町貞光)この町で季節料理を営むお店の大将は自ら鮎、あめごを釣り、松茸を採り、お店の料理として提供していた。そんな大将が、「剣山の奥まで入ると50㎝近くあり、鮭のような魚がいる。体表は銀色、身は朱色だ。」
私「釣りキチ三平じゃあるまいし、そんな魚おるわけない」と、信じなかった。そのうちに刺身を食べさてもらった。たしかに身はサーモンのようだったが、あの山奥に50㎝もある鼻の曲がった魚がいるわけないと私は言い張った。それなら、実際に釣るところを見せてやるとのことで、剣山山中へ分け入った。やがて道はなくなり、私は途中待機となったが、二時間後男五人で三匹釣り上げてきた。50㎝とはいかないが、40㎝近くあるものだった。たしかに銀色で鼻の曲がった鮭のような、いえいえ紛れもない「鱒」だった。
その当時は一時カメラを持たないころで、ブログもSMSもやってない時代なので、画像はない。その後、私がお店を出した夏に大将から二尾譲り受けた。上が43㎝、下が38㎝。あらためてその姿に感動した。河口ではなく、深い山奥にいるのだから。また、その美しい身の画像は私がサツキマスの握りを食べたら、その予告編でご紹介いたします。お楽しみに。

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ライター プロフィール

日本酒ライター 髙松 巖

髙松 巖

香川県丸亀市で日本酒メインのダイニングバー「星の川」をやってます。こちらでは、季節感溢れる日本酒の魅力をお伝えできたらと思います。よろしくお願いいたします。