ジャケ買いのすすめ②~春の巻(桜、蝶)~
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「ジャケ買いのすすめ」今回は春をテーマに選んでみました。一概に春と言っても人それぞれの人生、思い出によって、思い描くものは違うかもしれません。
私は母の命日が桜が満開の頃だったこと。また、幼少期を過ごした住まいが田畑に囲まれ、春には畑を舞う蝶が印象的に過ごしてきたこともあり、春と言えば桜と蝶が印象的です。そこで今回は、「桜」と「蝶」のジャケット二本を選んでみました。
Sasanami ~ささなみ~春 (埼玉県)
桜の花一輪と小さく小鳥が白地に濃いピンクと薄いグリーンの二色だけで描かれています。シンプルですが、爽やかに少し華やかな気持ちにさせてくれます。
「近江やに名高き松の一本木、先から先へと開くさゝ浪」
心をこめて人に喜ばれる酒造りをしていれば、人から人へ「さゝ浪」の如く、世の中に伝わっていくだろう。
そんな思いを初代、麻原善次郎が詠んだ歌です。
麻原善次郎は琵琶湖の畔に生まれ、九歳にて東京青梅の酒蔵へ奉公に入り、二十九歳の時、現在の地、毛呂山にて開業するに至りました。
私は毛呂山には行ったことがありませんが、近くの鎌北湖は「乙女の湖」と呼ばれ、春は桜、夏は緑、秋は紅葉が美しい湖とのことです。
初代の遠き近江琵琶湖の一本松の思いは、今は、乙女の湖の桜に受け継がれているのかもしれません。お酒のお味ですが、ジャケット通りと申し上げておきましょう。
山﨑醸 夢吟香 DREAM (愛知県)
こちらは、花にとまる蝶が一羽、黒地に赤のみで描かれています。夢の世界へ引き込まれる期待感に溢れています。
表ラベルには「三ヶ根山から世界へ」の言葉とともにアサギマダラが描かれています。
裏ラベルのキャプションは、
愛知県西尾市の東端に位置する三ヶ根山は、自然豊かな地です。唯一海を渡ることで有名な蝶「アサギマダラ」にとって大海原へ翔く絶好の飛来地です。秋に渡りの中継地としてやってくるアサギマダラは、この地から、遠く喜界島や奄美大島、沖縄、台湾などまで飛び立っていきます。
このお酒は、愛知県が育成した新品種酒米「夢吟香(ゆめぎんが)」と三ヶ根山麓の伏流水で醸した純米大吟醸酒です。この地から世界へ翔いていく酒・・・そんな夢と希望を託して醸しました。華やかな香りで幅のある豊かな味わいをお楽しみください。(以上裏ラベルより)
さて、よくよく考えてみれば、アサギマダラが三ヶ根山を飛び立つのは秋ではないか・・・
このジャケットに描かれている蝶は春ではないんじゃないか・・・
そんな不粋な考えも頭をよぎりましたが、そんなことより、今、アサギマダラはどこにいるのだろうか?南西諸島あたりで北上の準備を始めているのだろうか。まだ、のんびりと蜜を吸っているのだろうか。そんなことを考える方が楽しい夢の世界へ迷い込めそうです。
さてさて、これ以上、夢吟香DREAMを飲みすすめれば、良い気分に任せて夜の蝶を求めて夜の街を彷徨いそうなので、この辺りで本日は、お開きにいたします。
次回は、夜の蝶・・・じゃなかった(笑)
「男」をテーマに選んでみたいと思います。