日本酒と料理の組み合わせを見直す時期に セオリーが当てはまらない結果になった「第1回酒友グランプリ」
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「第1回酒友グランプリ」に輝いた日本酒が10月10日、FBOアカデミー東京校にて発表され、伝統部門グランプリには「相生乃松(あいおいのまつ)」(愛知県)が、革新部門グランプリには「特別本醸造 無濾過 雫しぼり」(佐賀県)が選ばれました。
「酒友グランプリ」は「日本酒、焼酎の楽しみ方を未来につなぐために、あらためて酒と料理の相性を問いかけ、魅力に迫る」ために開催。7月に東京2会場と大坂1会場で審査会が開かれ、日本酒唎酒師や一般の方など合せて498名の審査員によって、伝統部門は「まぐろの漬け」、革新部門は「ようかん」に合う日本酒の投票が行われました。
伝統部門グランプリに選ばれた「相生乃松」は大吟醸酒で、口に含むとまろやかな甘味が広がりますが、酸味のバランスが良いので甘さは舌に残りません。杜氏の田中正則さん曰く、「料理に合わせるために香りを抑えています。今年と去年の大吟醸酒をブレンドさせているので、熟成された旨味があると思います」とのこと。キレが良くても酒の旨味が残っているので、まぐろの生臭さを包んで美味しさだけを引き立ててくれます。大吟醸酒は料理に合わないというセオリーを覆す一杯です。
革新部門グランプリに選ばれた「特別本醸造 無濾過 雫しぼり」は本醸造酒でありながら、吟醸酵母を使って低温発酵させ、さらに袋吊りでしぼるという手の入れようです。果実と米の2つの香りが混じり合い、とろみがあるのに軽快な味わいです。社長の光武博之さんは「日本酒は純米酒だけじゃないことを伝えたくて作ったお酒」「九州の料理は甘っ辛いものが多いので、料理に合わせるためにこういった味を追求できた。甘いようかんに合うのも腑に落ちます」と語りました。
今回の審査会の結果で特筆すべきは、各部門に出品された「薫酒」「爽酒」「醇酒」「塾酒」4タイプの日本酒どれもが一定数以上評価されたことです。昔は日本酒といえば「爽酒」、合わせる料理は刺身が定番でした。それが時代とともに食前酒としての「薫酒」が好まれるようになり、魚以外の料理との組み合わせも評価されるように。今回、薫酒と「まぐろの漬けが支持されたことや、甘いお菓子に色んな日本酒が合う事実から、日本酒と料理の組み合わせはもっと広い視点を持つ段階に来たことが言えます。
「ワインのマリアージュのように、もっと日本酒と料理の組み合わせが知りたい」の意欲のもと、第2回の開催も2018年2月24日を予定しています。
表彰された蔵元の皆さん(同イベントに来場した方のみ)。
伝統部門グランプリ「相生乃松」/相生ユニビオ(愛知県)
「これだけの数のお酒の中からグランプリに選ばれるのはなかなかないので嬉しい」
伝統部門準グランプリ「蓬莱 無修正の酒」、革新部門準グランプリ 「蓬莱 飛騨のどぶ」/渡辺酒造店(岐阜県)
「このお酒はまだ製品化されていないものでした」(蓬莱 無修正の酒)
「日本一のにごり酒を目指しているので、これしかないと思って出品しました」(蓬莱 飛騨のどぶ)
伝統部門準グランプリ「なまの上善如水 純米吟醸」/白瀧酒造(新潟県)
「水のようにピュアな日本酒を醸し続けたいです」
革新部門グランプリ「特別本醸造 無濾過 雫しぼり」/光武酒造場(佐賀県)
「これからも日本酒の新しい形を見つけていきたい」
革新部門準グランプリ「貴醸酒 古酒(23年+13年)」/若鶴酒造(富山県)
「貴醸酒を造っているところは少ないですが、うちは30年以上前から造っていました。これからも古酒の部門で頑張っていきたい」
革新部門準グランプリ「純米吟醸 Sparkring Sake Shiro」/萩原酒造(茨城県)
「日本酒をあまり飲まれない方のために造ったお酒です。酸味のあるお酒なので甘いものにも合います」
FBOアカデミー
http://academy.fbo.or.jp/