日本酒好きなあなたに酔い情報をお届け

MENU

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

掲載

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

「2017 ミス日本酒 秋田代表」戸嶋一葉さん

お米から造られる日本酒。弥生時代まで遡れば2000年以上の歴史を持つ国酒ですが、これまでは“年配の方が飲む酒”と言われることもありました。ですが近年は日本酒を飲む若い人が増え、「日本酒女子」と呼ばれる日本酒が好きな女性も多く見られます。

【日本酒女子】では、さまざまな業界で活躍する日本酒が好きな女性に、おすすめの日本酒またはお店を教えてもらいながら、日本酒の魅力を伝えていきます。第1回は、IT企業に勤務する傍ら、「2017 ミス日本酒 秋田代表
として活躍する戸嶋一葉さんをご紹介します。

「ミス日本酒」とは、一般社団法人ミス日本酒が2013年から毎年開催する「日本酒と日本文化の魅力を、国内外に発信する美意識と知性を身につけた女性のアンバサダー」を選ぶコンテスト。秋田代表として日本酒の啓蒙活動に励む戸嶋さんおすすめのお店は、東京・恵比寿にある「秋田純米酒処」です。

恵比寿にある日本酒バー「秋田純米酒処」

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

新政酒造で50年以上、日本酒をしぼるのに使われていた槽(ふね)

恵比寿駅東口から徒歩3分の場所にある「秋田純米酒処」は、2017年9月にオープンしたばかりの日本酒レストラン。日本三大美味鶏の一つ秋田比内地鶏生産責任者の店「本家あべや」の系列で、比内地鶏を始めとした秋田県の名産品をつまみに、秋田県の日本酒が飲めます。

秋田県の日本酒のほとんどを揃えており、なかなかお目にかかれないレアなお酒も。戸嶋さんによると、「秋田の水は全般的に軟水の傾向にあるので、その特性から口当たりがまろやかできめ細やかな日本酒を造り出していると言われています」だそうです。

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

左から2015年、2017年、2016年のNEXT5共同醸造酒

地下のドアをくぐって目の前に飛び込んで来たのは、新政酒造で50年以上、日本酒をしぼるのに使われていた槽(ふね)。改装して立ち飲みテーブルにも使われているとか。壁側の冷蔵庫にずらりと並ぶ秋田の日本酒が圧巻です。お酒をたくさん呑み比べたい方のために、お酒の量は60mlから提供されているのも嬉しいところ。

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

真剣な表情でお酒の違いを味わう戸嶋さん

この日、齋野店長にお薦めされたお酒は3杯。「白瀑」「ゆきの美人」「春霞」「一白水成」「新政」で知られる秋田県の5つの蔵元が、技術交流をかねて共同醸造するユニット「NEXT5(ネクストファイブ)」の日本酒です。「味だけでなくボトルにも力を入れていて、たとえば、2017年は建築家の田根剛さんとコラボした斬新なデザインになっています」と、戸嶋さんは2015年、2016年、2017年と順番に呑み比べ。

「どれも美味しいです。好みは何か…と言われると、困ってしまいますね。2015年はボディの存在感とオーク樽の香りがいいですね。2016年の上品な甘さは惹かれます。2017年のフレッシュで華やかな香りの広がりとさっぱりした後味は、お食事と合わせて楽しみたいです。贅沢な呑み比べでした」

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

のぞき込んでいるのに気づいて照れくさそうに笑います

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

店長の齋野啓太さん。日本酒のことは気兼ねなく聞いてください

お店の日本酒は全て店長の齋野さんが厳選したもの。この日もおすすめの日本酒をたくさん出してくれました。ラベルだけ見てもカッコよかったり、かわいかったり、今流行のインスタ映えしそうなものばかり。戸嶋さんは異なる温度帯での呑み比べも提案してくれました。

「日本酒は温度帯によっても風味が変わるので、同じお酒を冷やしたもの、常温にしたもの、温めたものと、温度を変えて飲むと全然味が違います」

お店では日本酒を熱燗でも飲めるので試してもらえればと思います。

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

内装もスタイリッシュ。戸嶋さんも新しい感覚で日本酒が楽しめると太鼓判

実は東京駅八重洲北口の「本家あべや」に、日本酒バー「秋田純米酒処」が併設されています。「秋田に帰る新幹線の出発前に、よく利用させてもらっています。先日は呑み比べをしつつ発車15分前まで飲みました。ゆっくりできていいですよね」と朗らかな笑顔で語る戸嶋さん。「秋田純米酒処」が恵比寿にオープンしてからは「よく大学時代の友人や会社の同僚とここで飲んでいる」らしく、本当に日本酒好きなのが伝わってきました。

「2017 ミス日本酒 秋田代表」戸嶋一葉さんインタビュー

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

店長の齋野さんと談笑する戸嶋さん

ーーずっと日本酒が好きだった?

戸嶋 お酒を飲み始めたのは社会人になってからです。営業部配属だったこともあり、乾杯はビールが多かったですね。また、私が生まれ育った田沢湖町(現在は合併して仙北市)には、田沢湖にちなんだクラフトビールがあり、成人式で最初に飲んだのもビールでした。

日本酒が気になる存在になったのは、会社の女性役員から日本酒の楽しみ方を教えていただいたことがきっかけです。ワインにもビールにも詳しい方ですが、日本酒の魅力を熱く語る席に何度もご一緒させていただき、次第に色んな銘柄を覚え、温度や精米度合いの違い、利き酒、ペアリングをするようになりました。今はひとりでも毎日日本酒を飲んでいます。

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

ーーどうしてミス日本酒になろうと?

戸嶋 秋田の魅力を伝える活動がしたいと思ったからです。もともと、世界中の人と情報が集まる場所に憧れ、海外で働きたいという思いがありました。新卒で入社したのは外資系のIT企業。新入社員研修でキャリアデザインに関する講義があり、「社会人5年目に叶えたい夢は?」というテーマでディスカッションがありました。当時は深く考えずに「生まれ故郷の秋田に恩返しがしたい
と発表したことを覚えています。

ちょうど社会人5年目の昨年、祖母が胃がんにかかってしまい、週末秋田に帰る生活を続けていました。祖母に会うために秋田に帰るようになってから、改めて、秋田のよさ、特に、自然の豊かさ、お酒とお水の美味しさ、温泉のすばらしさ、そして何より、人のおだやかさとやわらかい言葉の魅力にはまりました。秋田県は人口減少が東北の中でも進んでおり、100万人を切ったと言われています。幼い頃から過ごして来た秋田の良さを、そして大人になって、物理的に離れたからこそ気づいた秋田の魅力を、自分の言葉で広めていきたいと強く感じました。

秋田のすばらしさが凝縮したものは日本酒であると確信しています。そんなことを考えていた時、タイミング良くミス日本酒のコンテストが開催されていたこともあり、日本酒を通して秋田県の魅力を世界に伝えていけたらと、オーディションを受けました。結果として、社会人5年目で、秋田に関わる活動が出来て嬉しいです。祖母は、胃を全摘出したものの、食事をとれるまで回復しました。私の活動を応援してくれています。長生きしてほしいなあ。

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

ーーミス日本酒になる前となってからでは何が変わった?

戸嶋 日本酒を通して自分のルーツを意識するようになりました。たとえば、秋田は冬の期間に長期保存が出来る発酵食品が多く、郷土料理も味が濃いめ。日本酒にとっても合うのです。そう言えば、海外出張に行っても日本食が恋しくなります。食文化と日本酒、土地に根ざした相性の良さを、より意識するようになりました。

美味しい日本酒とたくさん出逢いましたが、育ってきた水の影響か、やっぱり秋田のお酒が大好きです。ミス日本酒になってから、イベントに出演させていただく機会が増え、その際に出逢った方々と、どんな日本酒が好きなのか、どの食材と合わせたら合うかを、たくさんお話させていただきます。会話の中で新しい日本酒の楽しみ方や、お客様のルーツを、一緒に探してゆくのが楽しいです。

そして、個人的にも日本酒の勉強をするようになりました。秋田の酒造組合主催の勉強会に参加したり、蔵元見学にお伺いしたり。秋田で日本酒に関わる方々に出逢って、これまでの生き方を見直すきっかけになりました。

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

ミス日本酒コンテストで酒への思いを語る戸嶋さん 画像提供:一般社団法人ミス日本酒

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

画像提供:一般社団法人ミス日本酒

ーーこれから日本酒を通してやりたいことは?
戸嶋 今の活動の延長となりますが、日本酒の魅力と蔵元様の想いを国内外に伝え続けたいです。秋田に生まれたという宿命的なものを大事にしながらも、いつかは海外で仕事をしたいという夢もあります。海外の方や成人してお酒が飲めるようになった若い世代の方々に対しても、秋田の日本酒の最新情報や、飲み方をお伝えして参ります。

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

ーー日本酒のおすすめの飲み方は?

戸嶋 美味しく日本酒を楽しむために、お酒を飲んだ分だけしっかり和らぎ水を飲むことでしょうか。日本酒専門店では、テーブルにお水のペットボトルや瓶が置いていますよね。

そして、最初に飲む日本酒を迷う方は、乾杯に微発泡系の日本酒を選んでみるのはいかがでしょう。最近はワイングラスで日本酒を楽しむ機会も増えています。あとは、お料理や食材と同じ地方のお酒を選ぶのもおすすめです。皆様の好きな日本酒が見つかるといいですね。

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

ーー日本酒は女性におすすめ?

戸嶋 金沢工業大学の研究でも発表された通り、日本酒の旨味成分がコラーゲン量を増やすと聞きます。飲んで楽しむだけではなく、日本酒を使った化粧品もおすすめです。わたしも化粧水と保湿クリームを愛用しています。

あとは、日本酒を入り口に、醸された土地の良さに触れる旅もおすすめです。日本酒の蔵元は水がきれいで自然の豊かな場所に多いので、アクティビティとしても良いですよ。リフレッシュできると思います。先日も友人8人を東京から連れて、秋田ツアーをしました。酒蔵見学をした後、温泉に浸かって身体を温め、日本酒を楽しんでくれたら嬉しいです。

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

秋田の酒造組合が日本酒を県外に発信するためのブランド名「美酒王国」

ミス日本酒が女子会におすすめする 東京・恵比寿の日本酒レストラン【日本酒女子 vol.1】

恵比寿駅東口から徒歩3分のビル地下1階にあります

秋田純米酒処
住所:東京都渋谷区恵比寿1−11−5 GEMA恵比寿B1F
電話番号:03-6277-0663
営業時間:月~土・祝前日/17:00~翌3:00 (L.O. 2:00)、日曜・祝日/13:00~23:00 (L.O. 22:00)、年中無休

戸嶋一葉Twitter

美酒王国 秋田

ミス日本酒: Miss SAKE公式サイト

酒蔵レポート
日本全国酒蔵レポート/「来楽」茨木酒造(兵庫県明石市)

「来楽」茨木酒造(兵庫県明石市)

「来楽」をかもす茨木酒造は、1848年(嘉永元年)創業。今回お話しをうかがった茨木幹人(みきひと)さんで、9代目を数えます。
日本全国酒蔵レポート/「灘菊」灘菊酒造(兵庫県姫路市)

「灘菊」灘菊酒造(兵庫県姫路市)

「灘菊」「MISA33」「蔵人」をかもす灘菊酒造は、1910年(明治43年)に川石酒類(資)として創業。2010年に100周年を迎えました。
地元の米で、水で、人で、つくる酒「賀儀屋」の蔵訪問/成龍酒造

「賀儀屋」成龍酒造(愛媛県西条市)

蔵がある西条市は、愛媛県のなかでも南に位置をし、「うちぬき」がある水の都として有名な場所。石鎚山の伏流水が吹き出すことからこの土地の水は、”打ち抜き水”と呼ばれています。
中沢酒造株式会社(神奈川県足柄上郡)

中沢酒造株式会社(神奈川県足柄上郡)

神奈川の丹沢山系の麓、松田でお酒を醸していらっしゃる中澤酒造さんにお邪魔しました。
中沢酒造株式会社(神奈川県足柄上郡)

豊島屋酒造(東京都)

東京都東村山市にある【豊島屋酒造】さんにお邪魔しました。

ライター プロフィール

乃木章

乃木章

小説家/ライター/日本酒唎酒師/鶴ヶ島まちおこし委員会会長。
地元の酒屋さん「キングショップ誠屋」眞仁田社長との出会い日本酒を飲み始める。お酒は苦手だったのに、日本酒が好きになって以来、地元を中心に日本酒好きな人を増やそうと月1で日本酒イベントを開催している。
@Osefly

カテゴリー