酒販店が期待を寄せる日本酒アイドル「RICE-HEART」 結成3年目の目標
掲載
日本酒アイドル「RICE-HEART」が月1で主催するライブ「あらばしり」の様子
眩しいスポットライトに照らされ、観客のコールに応えて熱唱するステージ上の少女。一見すると、地下アイドルのライブではありがちな光景ですが、袴姿の少女が熱唱しているのは、日本酒の銘柄38種類が入った歌詞でした。
取材で訪れた3月18日の主催ライブでは、三佳さんが体調不良で休んだため一人で歌って踊りました
さらに、歌い終わった少女が取り出したのは日本酒の一升瓶。あっと驚く間もなくグラスに注いで飲むと味わいを伝えます。その後は観客との「じゃんけん大会」が行われ、勝ち残った一人のグラスに日本酒が注がれるではありませんか。美味しそうに飲む観客の顔が印象的です。
勝ち残った観客に日本酒を注ぐえりかさん
少女は日本酒アイドル「RICE-HEART」のメンバー・甲子えりか(きのえね・えりか)さん。こちらは毎月主催するライブ「あらばしり」のステージの様子です。同グループはアイドルライブなどを運営する純米こうじさんと東京都浅草の酒販店が一緒にプロデュースしており、2016年5月に結成から3年目を迎えています。
船出から苦難の道のりだった3年間
同グループの結成当初からのメンバーは、大盃三佳(おおさかずき・みか)さんだけ。これまでメンバーの入れ替わりが多くあり、現在のえりかさんと三佳さん2人に落ち着いてようやく一年が経ちました。
甲子えりかさん
プロデューサーの純米こうじさんは、「各方面に日本酒アイドルを認知してもらうことが大変。最初の一年は運営方法のまずさもあってメンバーの出入りは激しかったですが2年目に現在のメンバーに落ち着きそれと同時に徐々に認知もされ始め各種日本酒イベントに呼んでもらえるようになりました」と語ります。
現在は、酒販イベントや、酒造見学レポートなど、関東を中心にライブイベントや日本酒販促の活動が広がっています。
3月18日の主催ライブ開催地である神田の街を歩くえりかさん
えりかさん自身も、蔵元との関係構築が今後の課題だと感じています。「アイドルとだけ聞くと偏ったイメージもあると思いますが、新しいアプローチで世代を超えて多くの人に日本酒を飲んでもらうために少しでも自分達が力になりたいです」。
アイドルというキャッチーさを活かして日本酒をPRしたい
同グループは他のアイドルライブにも参加しますが、毎月1回はゲストに他のアイドルグループを呼ぶライブ「あらばしり」を主催します。そこで「今月のおすすめの一本」を利き酒しながら紹介して1杯500円で販売しています。ライブ後の物販で毎回一升以上は売れる好評ぶりで、えりかさんによると「アイドルというよりも日本酒好きの方が来てくれているから」。
「そもそも私達は本来の意味のアイドルだと思っていません。三佳さんは結婚を公表していて、ファンも知っていて応援してくれています。“日本酒PR大使”としてのスタンスでやっていきたいんです。あくまで日本酒好きが前提にあって、次いで歌が好きだからこういうPRで行こうと決めたユニットです」。
えりかさんと三佳さんはともに、日本酒に関する資格を認定する「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(通称、SSI)」が認定する一般愛好家向けの資格「日本酒ナビゲーター」を持っており、普段から日本酒を愛飲しています。
「さすがにライブ前日とかは自重しますけど、ライブ以外でも日本酒の販促イベントでは一通りテイスティングしなければ味を伝えられませんし、家でも気に入った日本酒があったら一本(720ミリリットル)空けてしまうことはあります(笑)。飲む日が本当に多いんです」。そんなえりかさん、日本酒をPRするうえでアイドルというキャッチーさこそが売りだと言います。
「日本酒利酒師だと日本酒好きな人以外は難しく感じるかもしれない。日本酒アイドルなら、そのフレーズがキャッチーじゃないですか? どんなのかな? と興味を持ってくれる人が増えると思うんです」
同グループのオリジナルソングは、日本酒の銘柄が38種類出てくる歌、恋愛ソングでありながらも飲酒運転防止を伝える歌など、どれも日本酒をテーマにしたものばかり。日本酒好きには共感できることも多いかもしれません。ご興味あれば一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
<RICE-HEART公式Twitter>
<RICE-HEART公式サイト>