武士の末裔で7号酵母誕生の酒蔵 上諏訪が誇る355年目の宮坂醸造「真澄」
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長野県上諏訪では、毎年春と秋に5つの日本酒蔵で用意されたお酒を飲み比べる「上諏訪街道 呑みあるき」が開催されています。実はわずか500メートルの間に日本酒5蔵が立ち並ぶ酒の街なのです。その中でもひときわ大きい宮坂醸造さんは真澄という上品な甘口酒を醸すことで知られています。
左から富士見蔵杜氏の中野淳さん、総杜氏の那須賢二さん、社長の宮坂直孝さん、諏訪蔵杜氏の平林和之さん
9月29日に埼玉県鶴ヶ島市のキングショップ誠屋で「宮坂醸造日本酒呑み比べ会」が開催。宮坂醸造営業部主任の丸山正典さんが蔵の歴史やお酒について語りました。
営業部主任の丸山正典さん 撮影:幻夜軌跡
撮影:幻夜軌跡
宮坂醸造は戦国時代諏訪を収めていた諏訪氏に使えていた武士の末裔です。昭和中期までは苦しい経営状態の貧乏酒蔵でしたが、現社長の祖父にあたる宮坂勝さんと杜氏の窪田千里さんによる品質革新で銘酒蔵の一角に。
「真澄」が全国清酒鑑評会で上位を独占した昭和21年、全国の優良な酵母を採取して培養する日本醸造協会によって、宮坂醸造の使う酵母が極めて品質が良いとして7号酵母に認定されました。以後、宮坂醸造は中堅酒蔵へと成長していきます。
セラ試飲スペース
現在、上諏訪蔵と富士見蔵の2つの酒蔵で、毎年10月から翌3月まで酒造りをする宮坂醸造が大切にしているのは大きく3つ。農家の方々との関係を強化して高品質な原料・お米の確保、最新分析機器を仕入れるなど設備の充実、若手正社員の採用など人材育成です。そして、日本酒を世界酒にするという大きな目標があります。世界に認められなければ日本酒は生き残れないという危機感を持ち、発行しているパンフレットの日本酒の説明も多国語表記にしました。
世界に認められる日本酒にするために、人と街に優しい酒蔵であることを心がけています。ボトルや化粧箱は点字表記をし、開封時のケガを防ぐためにプラスティックキャップを採用。街を盛り上げるために、春と秋の「上諏訪街道 呑みあるき」だけでなく、クーポン券を買うことで普段から参加できる「諏訪五蔵 酒蔵めぐり」や、「くらもと古本市」「新酒祭り」を開催してきました。人との繋がりを大事にする姿勢は、お酒を置いてもらう酒屋さんとの付き合いや、お客と交わるイベント参加にも表れています。
同日行われた「宮坂醸造日本酒飲み比べ会」の一番人気は、蔵でしか飲めない樽酒の限定瓶詰めでした。こちらは要望に応えて今年の秋に初めて、「上諏訪街道 呑みあるき」で販売したところ200本がすぐさま完売。樽の香りが酒の味わいを促進してくれます。個人的に真澄といったら樽酒のイメージがあるくらいおすすめの一杯です。
画像提供:宮坂醸造
宮坂醸造HP
https://www.masumi.co.jp/