女性が一人で飲みに来る日本酒バー 赤羽にある「しじゅうごえん」が人気の理由に迫る
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女性店主の氏田陽子さん
これまで日本酒はオヤジの酒のイメージがありましたが、近年はフルーティーで甘い日本酒も出るようになって若者の飲み手が増えました。とりわけ“日本酒女子”に代表されるように女性の間にも日本酒は広がっています。居酒屋激戦区の赤羽にある数少ない日本酒バー「しじゅうごえん」でも、一人で飲みに来る女性が多いとか。日本酒が女性に人気の理由を女性店主の氏田陽子さんに聞きました。
日本酒飲まない方は入店お断り
お店のイーゼルには、「必ず日本酒の注文を入れて頂きます」「店内完全禁煙」「酔っ払いや香水のキツイ方は入店お断り」と注意書きが。氏田さんは「当店でお出しする日本酒は半合450円から。決して安くないのに価値を見出して来てくれたのだから、香りや味わいを楽しまないともったいないという意味を込めています」と語ります。
日本酒は「川中島 幻舞」に惚れ込んでいる
日本酒は常時70種類以上置いている中でも、長野県のお酒「川中島 幻舞」(以下、幻舞)を季節ごとに全種類揃える「しじゅうごえん」。「東京の日本酒バーでは当店だけだと思います。一升の100本が一石なので、年間一石以上は幻舞を売っていますね。造っている人の人柄って味に出るじゃないですか? そういう意味でもすごく優しい味でなんですよ」と氏田さんがそこまで惚れ込む理由は、幻舞を造る女性杜氏の千野麻里子さんにあります。
お酒造りの責任者である杜氏はほとんど男性が占める中、女性杜氏の走りとも呼ばれる千野さん。全国新酒鑑評会金賞を始め数々の賞を受賞する腕前です。「幻舞は試飲会で出会って好きになり、翌年もこの先も幻舞がどうなっていくか見たいと思うようになったんです。店を開く前から蔵にも行かせてもらって、どんどん親近感や信頼感が生まれました。杜氏の麻里子さんも東京出張の際は当店によく立ち寄ってくれます」と氏田さんの口調も熱を帯びます。
「日本酒って同じ蔵の酒でも米の種類や製法によって味の幅があります。造り手が4人ほどの小さい蔵の幻舞もたくさん種類があって、一種類だけ飲んでも本当に理解はできません。お酒の幅を知る取っ掛かりにしたくて、幻舞だけは季節ごとの全種類を揃えています」
女性が一人で飲みに来る理由
昔からお酒が好きだった氏田さんが日本酒と出会ったのは20代、母親の実家近くの酒蔵を見学したのがきっかけ。「日本酒ってこんなに美味しいのか」と以来、自分でも色んな日本酒を飲むようになり、4年前にお店を開くことに繋がりました。「色々飲みたいけど自分で飲みに行くより、色々お酒を集めて皆に飲んでもらえれば自分も全部飲めるじゃんという考え? ざっくり言ったら、そこもあります(笑)」
赤羽を選んだ理由は、飲み手や酒場は多いけど日本酒を飲めるお店が少ないから。そんな「しじゅうごえん」には一人飲みの女性客も多くやって来ます。「女性店主だから大丈夫だと思って初めて一人飲みしに来たって女性もいますし、男性に連れられて気に入ってくれて次から一人で来る女性も多いですね」と氏田さんが言うには、タバコが苦手な女性も多いので禁煙であること、日本酒が半合の少量から飲めることが女性にとって入りやすいそうです。「少量で飲めて色んな幅がある日本酒って、女性にすごく好かれる要因が多いんですよ」
お店に来たら何でも聞いて欲しい
「せっかく日本酒バーに来たのに、お酒のことを聞いたり、好みを伝えたりするのが恥ずかしいと思う人たちが多いと感じています。あるがまま言わないのはもったいない」と氏田さん。日本酒は人づてに聞いた知識で、辛口や純米酒を頼んでおけば良いかという人も多くいます。「その人の味の好みで日本酒を提供したい。当店では今どんなお酒を飲みたいですか? と聞きます。こういうのが飲みたいって言えば選んで出してくれる。そういうお店じゃないとダメだと思います」
店内には『ウヒョッ!東京都北区赤羽』の著者である清野とおる先生の描き下ろしイラストが
絶品だった黒豆とクルミのマスカルポーネ和え
2階がお店です。日替わりでカレーなどお腹に溜まる料理も味わえます
<日本酒BAR しじゅうごえん>
〒115-005
東京都北区赤羽西1-4-13 桐ヶ谷ビル2F
TEL・FAX:03-5963-4145
営業時間:平日16:30〜0:00頃まで、土曜日16:30〜22:00頃まで。ラストオーダーは1時間前。
定休日:不定休(日曜祝日は基本的に休み)
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