<Work Rice Balance ~仕事と日本酒と人生を味わうエッセイ 012> 新年を彩る
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年も明けて3~4週間もすると、新年なんて言葉はとうに過去のものになってしまう。こうして「もう1年の12分の1が終わってしまった」など変な焦り方をしながら、実りのある年にしたいと思いを巡らせたりする。
仕事の方もゆっくり始まるかと思えば、松の内からトップスピードで客先訪問と会議の連続。ゆっくりさせてくれよ、と愚痴を零しつつ、期待される仕事があるのはいいことだと自分に言い聞かせつつ。
とはいえ、イベントも目白押しな2020年。お酒でも新年を華やかに彩ってみたい。今回はそんな、変わった色の日本酒を味わう。
【一杯目】千葉 木戸泉酒造 「afs(アフス)」
小金色。ビックリするくらいの小黄色。日本酒のボトルから注がれているところを見なければ、紅茶の一種かと見間違うかもしれない。
変わった名前の日本酒だけど、これはこのお酒の開発に携わった3名の頭文字を取ったものらしい。
そして名前よりも変わっているのが、その日本酒ばなれした味わい。日本酒よりは白ワインに近い、強烈な酸味が鼻をツンと刺激する。口に含んでも、真っ先に顔を出すのは酸味。その後、米らしい甘味と微かな苦味が来る。
日本酒は通常、原料の米・米麹などを3回に分けて仕込む「三段仕込み」が一般的だが、この「afs」は原料を一度に全て入れて仕込む「一段仕込み」という珍しい方法で仕込んでいる。この方法により、酸味が強調されて日本酒とは思えない味わいに仕上がるらしい。独特な酒の色も、この製法に拠るものだ。
塩辛や刺身など、いわゆる「お酒のおつまみ」は合わない。むしろ洋食と合わせて真価を発揮するタイプの日本酒。
【二杯目】大分 中野酒造 「ちえびじん LOVE PINK」
写真を見ていただきたい。絵の具のような、クレヨンのようなピンク。これで「日本酒」と信じられる人がどれだけいるだろうか。しかもこの鮮やかなピンク色、着色料などを一切使用していないというから驚きである。「赤色清酒酵母」という特殊な酵母を使用しており、この酵母が醗酵の過程で淡いピンクに発色することでこのような色になる。
栓を開けると爽やかな香りが飛び込んでくる。これが、色のせいもあるかもしれないが、本当に酸っぱさの混じるイチゴに感じられるのである。とろみのある酒を一口味わってみると、真っ先に飛び込んでくる酸味と後からふわりと舌を包む甘味がとても心地良い。アルコール度数も普通の日本酒よりやや低め。普段日本酒を飲まない人や甘いお酒が好きな人にも十分楽しんでもらえるだろう。
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今年はどんな年になるだろうか。自分の仕事、趣味、家族、オリンピック、旅行。仕事をしているとどうしても視野が狭くなってしまうけど、ふと顔を上げればまだ11ヶ月もある。
大変なことがいっぱいあるのは分かっていて、それでもなるべく彩り豊かな楽しいことで埋められるように、盃を傾けながら気合いを入れてみる。