<Work Rice Balance ~仕事と日本酒と人生を味わうエッセイ 008~> 小豆島よりアルコールを込めて
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時間を見つけては突貫旅行を組んで全国を巡っている。「日本全国を回ってみたい」ということで始めた旅行だが、あと6県というところまで来た。どの土地にも観光場所があり、見たことのない景色も、どこか懐かしい景色もあったりする。もちろんそこで飲む地酒も格別。西や北の酒は特に、東京に出回っていないものも多く、ついついアレコレ飲んでみたくなってしまう。
意図的に色んな場所を訪れてはいるものの、電車で弾丸旅行のため、行けない場所も多い。離島などはその典型で、47都道府県を無事に制覇したら、機会を見つけてゆっくり行こうと思っている、
そんな離島の中でも、割と興味があるのが香川県小豆島。壺井栄の「二十四の瞳」の舞台などで知られており、名産と言えば醤油や胡麻油、オリーブオイルなど、調味料で有名。しかし実はこの小豆島、酒蔵が1つだけ存在するのである。
ということで、今日は都内でも扱っている店は相当少ない、小豆島の日本酒を。
【一杯目】香川 森國酒造 「びびび」
名前が可愛い。瓶の色も鮮やか。この瓶がそのままお土産になってしまいそう。
口あたりがとても軽やか。その後、旨味もしっかり来るのに、後口はスッキリしている。キレもしっかりあって、飲み込んだらすぐに味が消え、二口目が欲しくなる。魚介類との相性がとても良い。さすが海に囲まれた町でできたお酒。
【二杯目】香川 森國酒造 「ふふふ」
「びびび」ときて「ふふふ」。パッと聞いたら日本酒の名前なんて想像もつかないだろう。「びびび」がとても綺麗な瓶だったのでこのお酒も期待していたが、ラベルが汚れてしまっていた。それでも瓶の色がステキだったので思わず一枚。
華やかな香り、しっかりとした旨みがあるけど、「びびび」に比べてやや辛め。淡麗と呼ばれるタイプの味わい。常温でも楽しめるけど、オンザロックにしてキンと冷やしても飲みやすい。
【三杯目】香川 森國酒造 「ふわふわ」
「びびび」ときて「ふふふ」からの「ふわふわ」。ネーミングセンスがすごい。「ふわふわ」は酔っている感覚から取ったのだろうか? そうすると「ふふふ」はほろ酔いで笑っているイメージ? 「びびび」は良い酒に巡り合えた瞬間? 名前1つで空想が広がる、面白いお酒達。
琥珀色に近い色合いとややクセのある味わいは、紹興酒を彷彿とさせる。一気には飲みづらいので、少しずつ味を愛でながら。熟成された香りが開くので、ワイングラスがちょうどいい。
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この3種類に加えて「うとうと」もあるのだが、この日は品切れだった。酔って眠くなる様子を表わしたのだろうか。
飲めずに残念だけど、「最後の1種類は飲みに来いよ」と呼ばれてる気もして、いつか小豆島に行ってみようと誓いを新たに店を出る。