「一献盃」で味が変わる!?  話題のひやおろしにぴったりの盃を探そう【後編】

飲み比べ

美味しい〝ひやおろし〟を手に入れたら、盃もぴったりのものを用意してみませんか? そこで今季おすすめのひやおろし3本を、今話題の「一献盃」で飲み比べてみました。

【検証2】奥の松酒造〝奥の松 ひやおろし〟

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【スペック】
・アルコール分 17度
・原材料名 米(国産)・米麹(国産米)
・精米歩合 60%
・日本酒度 ±0
・酸度 1.5

【特徴】
熟したメロンのような香り。じっくりした旨みがあり、飲み口から後味まで安定している。か弱いタイプではなく、ふくよかでどっしりとした味わい。

〝奥の松 ひやおろし〟いざ、飲み比べ!

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W杜氏(以下、W):ふむ……決まりました。

ライター津川(以下、T):では、いっせーのーで!

W、T:ワングリ型!
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W:お、今度は一致しましたね〜。

〝奥の松 ひやおろし〟はワングリ型がオススメ!

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W:この酒本来の持ち味である濃密な香りを生かしつつも、より味わいが厚く感じられる。盃が、その酒が隠し持っている長所を引き出しています。

T:私は味の違和感を感じるものを消去したら、ワングリ型が残りました。

ワングリ型で生きる、熟したメロンの香り

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W:このワングリ型は、熟したメロンのような「酢エチ(酢酸エチル)」の香りが生かされますね。

T:ああ、過ぎると接着剤の臭いになるという……。
(前回記事参照)

W:そうです、そうです。

T:しかし、香りが与える味への影響ってすごく強いってことが、「一献盃」で飲むとよくわかりますね。

W:そうですね。香りは味にも確実に影響しますから。とはいえ「過ぎたるはナントカ」というように、香りが強ければいいってもんでもないんです。

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T:「バランス」が大事なんですね〜。

W:そう! 理想の味と香りのベストバランスに酒質を近づけるべく酒を醸すのが僕らの役割なんですが……難しいんですよねえ、ホント。

【検証3】三浦酒造〝豊盃 あきあがり〟

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【スペック】
・アルコール分 16度以上17度未満
・原材料名 米(国産)・米麹(国産米)
・精米歩合 麹米55% 掛米60%

【特徴】
注ぐ段階から感じられる、リンゴのような「カプエチ」の香りが特徴的。なめらかな口当たりと共に、もぎたてのリンゴのような甘みと酸味が転がりこんでくる。後味は徐々にフェードアウトしていくような心地のよい余韻がある。

〝豊盃 あきあがり〟を飲み比べると……

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T:いっせーのーで!

W:ストレート型!

T:ツボミ型! 
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W:今度は分かれましたね〜。

〝豊盃 あきあがり〟に、なぜこの盃?

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W:ストレート型を選んだのは、豊盃の特徴であるリンゴのような「カプエチ(カプロン酸エチル)の華やかな香りがそのまま鼻から綺麗に抜けていくので。まさに「ストレート」な香りが楽しめます。

T:たしかにラッパ型とワングリ型は、豊盃の上立ち香がやや飛びすぎてしまったような印象でした。

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W:津川さんは?

T:ツボミ型だと、大好きな豊盃の味や香りがずーっと口や舌に残るような感じがしたので。これはもう、好みの問題でしょうか。

3種のあきあがり、「一献盃」で飲み比べてみた感想は?

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T:飲み比べてみて思ったんですけど、香りの強弱だけじゃなく、香りの種類によっても合う盃って変わってくるのかもしれませんね。

W:お、いいとこに気がつきましたね!〝奥の松 ひやおろし〟のような濃厚なメロンの香りがする酒を、口径が狭くて香りを「保つ」系の盃などで飲むと、時に香りがこもって強烈に感じすぎちゃうんですよね。

T:やっぱり接着剤の香りが……?

W:「一献盃」は決してそこまで極端なことはありませんけど(笑)
まあしつこいようですが、要は……。

T:「バランス」が大事なんですね?

W:その通り!

T:そのお酒の「バランス」を保ちながら、長所を上手に引き出すような盃で飲めば、もっと美味しくいただけそうですね。

お気に入りのひやおろしに、ぴったりの「一献盃」を!

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原酒のひやおろしは、味わいや香りが濃厚なものが多いので、形の異なる「一献盃」で飲み比べてみるとより違いが感じやすいかもしれません。ひやおろしの美味しい季節、お気に入りの一本にぴったりの盃をみつけてみてはいかがでしょうか。

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