大人気につき入手困難!みつけたら即買い必須の「豊盃」限定酒3本を飲み比べ【後編】
掲載
青森の名酒のひとつ、三浦酒造「豊盃(ほうはい)」。そんな「豊盃」の、直売所でしか販売されていない限定酒2本と、旬のひやおろし(あきあがり)を飲み比べてみました。
「豊盃 特別純米酒 あきあがり」
【スペック】
・アルコール分 16度以上17度未満
・原材料名 米(国産)・米麹(国産米)
・精米歩合 麹米55% 掛米60%
旬の味「あきあがり」の味わいは?
W杜氏(以下、W):キレというよりは、舌に余韻がなびくタイプの辛口。でも旨味と程よい酸があって力強い。
ライター津川(以下、T):なるほど、「骨太」の味という感じでしょうか。上立ち香(立ちのぼる香り)は控えめですよね。
W:上立ち香控えめ、しっかりしたボディ感と落ち着き。〝ひやおろし〟のお手本という感じですね。
辛口なのに甘く感じさせる!? 「アルコール」の味
T:辛口ですけど、最初の飲み口は甘く感じられませんか?
W:最初の一口のインパクトが強いからですかね。あと、アルコール感。アルコールって、実は甘く感じるんです。
T:確かにアルコール度数の高いウォッカなんかも、甘いですもんね。
W:ちなみにアルコール由来の甘みがグルコース(糖)と大きく違うのは、甘みが舌に残らず爽やかなところです。
プロしかわからない? 微かな土の香り
W:あと、香りに微かな土っぽさが。
T:土!? マジっすか!
W:マジっす(笑)。もっと詳しく言うと、ひんやりした土蔵っぽい香りです。
T:土蔵?うう〜ん、わからない……。杜氏さんって、そこまでわかるんですねえ。
直売所限定販売「Houhai 大吟醸」
【スペック】
・アルコール分 15度以上16度未満
・原材料名 米(国産)・米麹(国産米)
・精米歩合 49%
「Houhai 大吟醸」の味わいは?
W:こちらも味の芯がしっかりあるタイプ。こちらはアルコールというより、グルコース(糖)の甘みが強い。酸味は抑えてあって、シャープで直線的な印象の辛口ですね。香りは〝エステリック〟です。
T:どういう意味ですか?
W:全ての「香り」の元である酸とアルコールの結合体を〝エステル〟といいます。それで様々な香りが感じられる事を〝エステリック〟と呼ぶんですよ。〝酢エチ(酢酸エチル)〟の香りも微かに感じられますね。
〝酢エチ〟のバランスが香りの決め手
W:〝酢エチ〟は程良い濃度だと、熟したメロンのような芳醇な香り。濃度が高すぎると接着剤みたいな香りになります。
T:ええ〜、接着剤って!
W:これはそこまで濃度が強くないので接着剤とは感じませんが。
T:そ、そうっすよね(ちょっとホッ)。
W:要はバランスの問題ですね。
「豊盃 あきあがり」と「Houhai 大吟醸」、一言で!
T:「Houhai 純米吟醸」はミドル級のボクサーと表現されましたが、この2本はどう表現しますか?
W:「あきあがり」は小麦色の肌のマッチョ、「大吟醸」は繊細そうで色白な細マッチョ、ですかね。
T:なるほど!
辛口、だけど味わい豊かな「豊盃」
「豊盃」の辛口ながらもボディ感と余韻のある味わいは、杜氏をうならせた様子。金木犀の香り漂うこの季節、秋風を感じながら「豊盃」で一杯、いかがでしょうか。