温めてもおいしい!?注目のひやおろし3本にぴったりの燗温度大検証【前編】
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だんだんと秋も深まり、お燗のおいしい季節になってきました。そこで今回は、旬のひやおろし3本にお燗をつけて、ぴったりの温度を検証してみました。
「お燗」のおさらい
お酒を温めて飲むことを「お燗」といい、基本的には醸造酒でしか行われません。燗をつけてはいけない日本酒などはなく、吟醸系でもぴったりの温度帯であれば美味しくいただけます。日本酒の温度を表す言葉は10個もあり、中には「花冷え」というような風雅なものも。ちなみにお燗は、世界的にみると大変珍しい飲み方だそう。今回は冷や(常温)を基準に、人肌燗(35℃前後)、熱燗(50℃前後)、飛び切り燗(55℃前後)の4段階で検証を行います。
検証は、おなじみのこの2人!
今回の検証に参加したのは、のんだくれライター津川と、酒の血(日本酒90%、ハイボール5%、レモンハイ5%)が流れていると噂されるW杜氏の2人。
ライター津川(写真左)
何を隠そう、日本酒を好きになったきっかけは燗酒。お燗番のいるお店もいいけど、家のコタツ(ない)で愛猫(いない)と燗酒を楽しみたい今日この頃。
W杜氏(写真右)
酒に関する情熱と機転は誰にも負けない、真の呑んべい。大好きなタカラcanチューハイのレシピを個人的に分析し、その黄金比をつきとめた(?)オリジナルレシピを持っているらしい。
【検証1】石井酒造 〝幸手(さちのて) ひやおろし〟
【スペック】
・アルコール分 17度
・原材料名 米(国産)・米麹(国産米)
・精米歩合 70%
・日本酒度 ±0
・酸度 1.7
・アミノ酸度 1.6
【特徴】
芳醇でふっくらとした穀物の香り。すっきりとしながら、旨味のある辛口。やや酸味が強めな点が燗にするとどう変化するかに注目。
〝幸手(さちのて) ひやおろし〟は、とびきり燗の燗冷ましでまったりと
ライター津川(以下、T):これは加温するほど円(まる)い味になりますね。
W杜氏(以下、W):加温することで甘みが感じやすくなるので酸のきつさが和らぐんです。
T:ただ、お燗をつけた直後は鼻や目につんとくるというか……。
W:確かに「ひやおろし」は原酒ですから、加温したばかりだとアルコール特有の刺激臭がきついくなります。
T:「ひやおろし」は燗冷まし(燗をつけた後、少し冷ましてから飲むこと)がベターでしょうね。
家でのお燗のポイントは、ココ!
T:ところで、美味しいお燗をつけるコツってありますか?
W:基本的には、お湯の間接的な熱でゆっくりと全体の温度を上げる「湯煎」方式がおすすめです。
T:家でやるとなるとちょっと面倒、って時もありますよね……。
W:そういう時には電動の酒燗器(今回の検証は、W杜氏愛用の酒燗器を使用)や、電子レンジを使ってもいいと思いますよ。ただ、局地的に温度を上げるので、温度を均一にしてあげる「ひと手間」が必要です。
杜氏が教える、燗温度を均一にするテクニック
T:燗温度を均一にするためにはどんな「ひと手間」が必要ですか?
W: 温めの時、ときどき酒燗器を電熱器から離して、くるくると回すといいですよ。酒燗器に置きっ放しは、温度ムラの元です。
T:電子レンジの場合はどうでしょう?
W:レンジにかけたあとに徳利を移し替える「ひと手間」が大事です。そうすることで酒が循環して、温度が均一になります。
T:なるほど!
「ひやおろし」の燗温度検証は、まだまだ続く!
続いては、竹野酒造〝祝蔵舞 ひやおろし〟と石井酒造〝豊明 あきあがり〟にぴったりの燗温度を検証します。【後編】をお楽しみに!