温めてもおいしい!?注目のひやおろし3本にぴったりの燗温度大検証【後編】
掲載
だんだんと秋も深まり、お燗のおいしい季節になってきました。そこで今回は、旬のひやおろし3本にお燗をつけて、ぴったりの温度を検証してみました。
【検証2】竹野酒造 〝祝蔵舞 ひやおろし〟
【スペック】
・アルコール分 15度
・原材料名 米(国産)・米麹(国産米) 「祝米」使用
【特徴】
「祝蔵舞」は2015年、「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」にて金賞を受賞した酒。バナナのような甘く濃厚な香りで、味わいはほどよく酸味が効いている。細身で繊細な印象が一口目から後味まで一筋に続く。
人肌燗の燗冷ましで、味わい膨らむ〝祝蔵舞 ひやおろし〟
T:人肌燗の燗冷まし、いいですね!
W:甘味が膨らんでしっかりとしたボディ感となるとともに、酢イソ(酢酸イソアミル)のバナナ様の香りが生きてきます。
T:確かに……最初の繊細な印象がガラリと変わりますね。
W:バランスの良さはそのままに、味わいの幅が広がります。これはいい!
T: ずいぶんとお気に入りですね?
W:一升瓶まるごと瓶燗(瓶ごと湯煎してお燗をつけること)つけて、一晩で1本開けられる自信ありますね。それで気持ち良く寝て、起きたら空の一升瓶が枕になっているという感じで。
T:さすがです(笑)
【検証3】石井酒造 〝豊明 純米原酒 ひやおろし〟
【スペック】
・アルコール分 17度
・原材料名 米(国産)・米麹(国産米)
全量埼玉県産酒造好適米「さけ武蔵」使用
・精米歩合 70%
・日本酒度 -11
・酸度 2.6
・アミノ酸度 2.0
【特徴】
米の濃縮した香り、甘くて酸もしっかりと感じられる特徴的な味わいは、シェリー酒のよう。どっしりとしたインパクトのある味わいは、燗でどう変化するか?
〝豊明 純米原酒 ひやおろし〟は熱燗の燗冷ましで、まろやかに
T: これは温度をあげるにつれて、個性の強さが和らぐ気がしますね。良い意味で。
W:熱燗がベストですかね。酸が円くなり、バランスのとれた味わいになります。
T:例えるならば?
W:尖ったパンクロッカーが家庭を持って性格が丸くなった、という感じかな。
T:おお〜、名言!
とびきり燗は「ホカホカご飯」の味!?
T: とびきり燗はどうですか?
W:こちらも悪くないですね。とびきり燗だと「ほっこり」「ふっくら」した、ご飯みたいな味わい。
T: 日本人なら誰もが共感しやすそうな味ですよね。
W:こういう味わいの濃い酒は温度による化学変化も大きいので、お燗での味の変化が楽しみやすい酒といえますね。
「ひやおろし」の燗で楽しむ、味わいの変化
「ひやおろし」は温度による味わいの変化が大きく、お燗にも向いているということがわかりました! とはいえ、その酒にぴったりの燗温度は酒の状態や気温、飲む人の嗜好などにより変わってきそうです。今回の検証を参考に、あなたも旬の「ひやおろし」をお燗にして、お好みの温度帯を見つけてみませんか?