<Work Rice Balance ~仕事と日本酒と人生を味わうエッセイ 015> また入れ替わってる?
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前回のエッセイから1ヶ月、日本も世界もガラリと変わってしまった。こんなことも起こるんだなあと日々更新されるニュースを見るものの、自分が今できることといえば感染しないことと経済を回すことしかないわけで、WEB会議を中心にテレワークで仕事を進めている。
お昼に子どもの面倒を見ながらの仕事は新鮮。下の子(1歳)が泣いたりしていると集中力が切れたりするものの、何かあったらすぐに家のことに切り替えられるのが良い。仕事と家庭、うまく両立していきたいものである。
一番寂しいのは行きつけの店に行けないこと。会社の近くにあるため、出社しないことには顔を出せない。そもそも休業中なのだが、日に日に心待ちの度合いが高まるばかり。
今回は3月の続きなので、写真はその店のもの。飲んだときのメモを引っ張り出して、書いていこうと思う。
【一杯目】広島 金光酒造 「賀茂金秀 ORIGIN(オリジン)」
どこかで見たラベル。そう、これは先月のエッセイに綴った「麹を交換して日本酒造りをする」という企画の逆バージョンである。
前回は、「雨後の月」の相原酒造と「賀茂金秀」の金光酒造、広島県の2つの酒蔵がそれぞれの蔵の麹を使って「雨後の月」を醸す、という企画の2本だった。
今回はそれの逆、つまり、それぞれの蔵の麹を使って「賀茂金秀」を醸した日本酒。
ORIGINの名前の通り、1杯目は賀茂金秀の麹で賀茂金秀を醸すという、そのままのもの。
ジューシーな旨味と酸味があるけど、しばらくするとそこに渋みが乗ってくるのが面白い。最終的な後味は割と辛口で、味の濃い料理にも負けない食中酒になっている。
【二杯目】広島 金光酒造 「賀茂金秀 EXCHANGE(エクスチェンジ)」
こちらは「雨後の月」の麹で「賀茂金秀」を醸した「EXCHANGE」
もともと「雨後の月」の方が飲みやすい酒とされているが、麹を変えることでその性質がきちんと表れている。旨味にジューシーさだけでなく、甘さのあるふくらみを感じられる。渋みも抑えられていて、辛味の少ない丸い味わい。
前回も書いたが、そもそも麹とは米のデンプンを糖に変えるための菌である。こうして糖が生まれるからこそ、アルコール発酵で糖がアルコールに代わる、という仕組みなわけで、日本酒造りの中でも非常に重要な要素だ。雨後の月に続き、賀茂金秀でも、「麹の差がここまで大きくなるのか」という感動を楽しめる2杯の取り合わせだった。
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来月このエッセイを更新することには行きつけの店は開いているだろうか。飲食業界が非常に厳しいと言われている現在、どうかそのまま店を閉じることだけはやめてほしいと切に願いながら、店で撮った酒の写真を眺める。