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楽しく学べる酒米(美山錦・五百万石)日本酒講座レポート/東京農業大学「食と農」の博物館

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東京農業大学「食と農」の博物館にて、NPO法人農業情報総合研究所が主催する日本酒講座がおこなわれました。同団体は、食の安心安全を理事長である植村さん自身が「知りたい」と思ったことがキッカケとして発足しました。その後、東京農大農学部に通う学生有志とともに活動をスタートし、現在では食育セミナーや田植え体験、農業ラジオ「農ラジ!」など様々な形での情報発信をおこなっています。日本酒に関するセミナーも、その一環です。

前回の「雄町」講座を受けおこなわれた今回は、受付を開始してすぐに満席、キャンセル待ちが出るほどの人気企画。それもそのはず、東京農業大学 醸造科学科教授である穂坂賢(ほさかまさる)先生と研究室の学生さん、そして農大近くに位置し、蔵元の息子さんたちが農大在校中にアルバイトするなど酒蔵と親交も深い朝日屋酒店の小澤和幸(おざわかずゆき)さん、それから卒業生である6酒蔵の協力によって開催される、日本酒初心者にもわかりやすく、内容が充実した講座です。

 

講座概要~日本酒とは?酒米とは?そして本題へ

まずは味わいを理解するための予備知識のおさらい。それから本題である美山錦と五百万石について触れられました。

■0■日本酒ってそもそもなに(穂坂教授より)

日本酒とは、酒税法上の清酒であり、かつ2015年新たなに定められた「地理的表示保護制度」で認められたものに限る。

■1■日本酒がおかれている国内消費、海外輸出量について

現在の日本酒国内消費60万キロリットル(約360万石)のうち、4%程度が海外へいっており、輸出先は多い順から、アメリカ、韓国、台湾、香港、中国、カナダと続く。2位の韓国は、2005年と2015年を比較すると3倍以上の急増を見せているものの、海外の酒には関税のほか教育税や消費税など多くの税金が課されるため、販売価格は高く、出回っている日本酒の多くは、比較的安価なものが主流である…など”輸出量と金額を対比させると見えてくる実情がある”という解説がされた。

■2■イネのこと、米のこと

稲はアジアイネとアフリカイネに分類され、日本で主流なのはアジアイネのなかのジャポニカ種。

■3■酒米とは?酒米の種類について

醸造用の酒造米(酒造用米、酒米)は、飯用米とは異なり、酒税法で規制され個人用には販売されていない。酒造免許を所持する東京農大で研究や実験用に購入する場合であっても、酒造組合を介して購入する。代表的な酒米として、山田錦(兵庫県)、五百万石(新潟県)、美山錦(長野県)、たかね錦(長野県)、亀の尾(新潟県)、九頭竜(福井県)…などが挙げられ、その数は120を超え、現在もその数は増え続けている。

■4■美山錦、五百万石の特徴

美山錦・・・1978年(昭和53年)育成。中生。背丈はやや高く96cm。倒伏しやすい。

五百万石・・・1956年(昭和31年)育成。早生。背丈は低く88cm。

■5■精米歩合について

米の削る割合のこと。精米歩合が高いほど、あまり削っていなくて粒が大きい。低いほどたくさん削っていて粒が小さい。

■6■美山錦、五百万石をつかった酒の紹介(朝日屋酒店・小澤和幸さんより)

すべて農大の卒業生が蔵元である酒蔵の日本酒で、朝日屋酒店で購入可能。味わいや香りについての説明がされた。

美山錦・・・湯川酒造「十六代九郎右衛門」、漆戸酒造「井乃頭」、富川酒造「富美川」

五百万石・・・宇都宮酒造「四季桜」、浦里酒造「霧筑波」、黒龍酒造「九頭龍」

■7■テイスティング、利き酒と答え合わせ

まずは6種類のテイスティングをし、そのあとで名前が書いていないA~Fのカップが配られ、どのお酒が同じものであるかを当てる。

■8■質疑応答

  • Q.今回のお酒は美山錦が純米吟醸、五百万石が純米を選んでいるようです。なにか理由はありますか?
  • A.我々の理由というより、美山錦は吟醸にしても良いよう多く研くことを前提につくられている。五百万石は山田錦に対抗してできたので優しい味わいが特徴。でも現在はよりこだわった造り方をするのが主流になっているので、自然と特別純米が多くなっているのではないか。

 

  • Q.たくさん酒米があることはわかったけど、古くからある山田錦がここまで拡がり現在も残るのはなぜか?
  • A.昭和60年頃の全国新酒鑑評会で、金賞受賞した酒のほとんどが『YK35』という造りのものだった。(Y=山田錦、K=熊本9号酵母、35=35%みがき)そのことをキッカケとして「吟醸ブーム」がおこった。それが拡がった最大の理由。そして実際にコメ自体もとても優秀なもの。しかし地域性も大切で、どこでも山田錦だけで良いというわけではないだろうと思う。

 

楽しみ、コミュニケーションをとるための日本酒

内容盛りだくさんの本セミナー。真面目に利き酒し、一喜一憂。盛り上がったあとで、簡単なおつまみが振る舞われ「勉強も大切ですけど、テーマは”楽しく学べる”ですからね。」と主催の植村さんが微笑み、穂坂教授が「そうですよ。日本酒っていうのは楽しみ、コミュニケーションをとるために最高のものです。」と答えたのを皮切りに、参加者はほんのつかの間のコミュニケーションを楽しんでいました。

穂坂教授の研究テーマは、醸造を応用した地域経済を活性化。テーマに掲げられた酒米に関しても、それぞれの特徴を説明したうえで、各地域で特色や個性を出すことが大切で、そのためにも県独自の酒米が研究開発されることに重要性がある、という説明をされました。

 

 

日本酒は、知識で飲むものではありません。ラベルにたくさんの言葉が書いてあるからと言って、決して美味しくなるわけではありません。しかし、どんなものを使って、どんな想いで、どんな手間ひまをかけて、どんな地域でつくられたのか、そしてそこにはどんな理由があるのか。ちょこっと知って飲むお酒は、いつもよりちょこっと美味しいのかもしれません。今後のセミナー等に関しては、ホームページでご確認ください。

 

  • ※講義内容は差し支えない範囲でご紹介させていただきました。実際にはより内容の濃い情報や具体的なデータを学ぶことができます。ご興味がある方はぜひご参加のうえ、ご確認ください。

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ライター プロフィール

日本酒ライター 友美

友美

日本酒ライター/コラムニスト
飲食店向け日本酒バイヤーや日本酒BARの看板娘を経て、「とっておきの1本をみつける感動を、多くの人に」という想いから初心者向けのイベントやセミナーの主催や記事を執筆。昭和59年度生まれの5人の酒蔵跡取りが集結した信州59年醸造会、通称「59醸(ゴクジョウ)」にサポートメンバーとして参加するなど活動の幅を拡げている。
寒さに弱い北海道出身。
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