酒造の神秘に魅せられ人生に寄り添う存在に。日本酒学講師/会社員・齋藤太郎【みんなの日本酒】
掲載
酒造に魅せられ、人生に寄り添う存在に
日本酒のDNA~好きになったきっかけ
就職後はじめての赴任先は広島。せっかく酒処にいたのに学生時代に「日本酒は罰ゲーム」「悪酔いするもの」という印象になっていたせいで、日本酒には触れず8年間を過ごしました。今思えばもったいないことをしたな~!と後悔しています。
その悪印象が変わったのは2012年、東京赴任になってから。日本酒に特化した居酒屋で、たまたま仕事のお付き合いで飲み「今まで知っていた日本酒と違う!」とフルーティさに驚きました。
その後、金沢旅行で「せっかくなら伝統文化に触れよう」となんとなく訪れた福光屋が現在に大きく影響を与えることになります。蔵内に充満する吟醸香、酒づくり中の緊張感漂う蔵内の様子、大きなタンクがずらりと並んだ光景…そして見学後に飲んだ日本酒。全身で感じる日本酒の神秘に打ちのめされました。
東京に戻って、居酒屋で「新政」や「獺祭」を飲み、人生で初めて足を踏み入れた酒屋で緊張しながらも日本酒(「醸し人九平次」)を購入しました。それから出張があるたび、その土地の地酒を楽しむなどして過ごします。
しかし『酒それぞれの味が違う理由』はわからないばかりか、周囲の年長者の方が詳しい。納得がいかず、とうとう2016年「きき酒師」の資格を取得しました。そうすると同年代の友人たちが質問を投げかけてくれます。でも普段日本酒の仕事に従事しているわけではないので、もちろん答えられないこともあります。こうして2018年に、きき酒師の上位資格である「日本酒学講師」を取得しました。意識の高さからではなく、気がつけば取得していた…といった感じです(笑)
おうちの日本酒
自宅の日本酒用冷蔵庫
「木戸泉」と「豊島屋」が多くを占めていて、あとは「自然郷」「常きげん」「多満自慢」「帝松」「澤乃井」「仙禽」など。
ジャケ買いもするしいろいろなお酒を飲むけど、いつも「木戸泉」は必ず入っています。2019年1月に木戸泉酒造で「蔵人体験」をしたのをきっかけに何度も通って、今では蔵人体験のコーディネーターも務めています。
1泊2日、若手蔵人の通常スケジュールに合わせて朝から晩まで作業します。遅刻した人は社員同様本気で怒られるし、30キロの重い米も担ぎます。蔵のリアルな空気感を感じながら、世話役の若手蔵人とともに体験者も成長し、蔵と地域とを好きになる――すばらしく貴重な体験に携わらせていただいています。
日本酒のおとも
仲間と家族
現在の状況になって「ひとり飲み」と独りぼっちは別物だと痛感しました。BARも居酒屋もひとりで入れますが、そこに知った顔があったり、人の気配があることが良さだったのだと気づき、ともに笑い合える仲間、話し相手になってくれる家族の大切さを改めて思い知りました。
死ぬ前にのみたいあなたの1本
木戸泉
木戸泉酒造が大好きなので。自分と同い年の「たまゆら1980年」がいいかな。(冒頭の写真で手に持っているお酒)
お酒が飲みたくなる風景
美しい自然
特段つまみもいらないし、どんな場所でもいいのですが「澤乃井園」のような小鳥がさえずり、川のせせらぎが聞こえるような、自然の美しい風景を見るとお酒を飲みたくなります。
以前宮崎の高千穂で酒を飲んだり、三浦海岸では荒波を眺めながら「三浦物語」という酒をのみましたが、最高でした。
あなたの愛用品
ちろり&ティファール電子ケトル(お燗セット)
夏でもお燗をします。最初からお燗のときもあるし、冷酒が飲みたい気分の時もあります。「この温度じゃなきゃ」というこだわりはなく、その日の気分に合わせます。
「神田豊島屋」のエコバッグ(保冷バッグ)
なかが保冷対応になっているので、酒を購入するときに重宝します。あとはデザインがいかにも、という感じじゃないので普段づかいにも。
これから欲しいもの・やりたいこと
より一層、日本酒学講師の資格を活かしたいと思います。まずは近所の仲間相手にセミナーをしたり。英会話レッスンにも2年ほど通っているので、英語も活かして日本酒の魅力を伝えるスキルを身につけていきたいです。
<取材後記>
今年40歳になると聞いて驚いたほど、若々しくみずみずしい印象の太郎さん。前職はメーカーの営業マンだったこともあって、お話しもお上手!とにかく爽やかです。ご家族と現職を大切にしながらも、どんな形であれ「日本酒」に今後も…いやもっとより深く関わってくださるとわたしは嬉しいな~と感じました。(関)