バランスを欠いてゆけ。バランスを越えてゆけ。【友美の日本酒コラム016】おとついからの二日酔い
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処暑をすぎて少し涼しくなったかな?と思いきや、またしても真夏の太陽に照らされる東京。ちょっと洗濯物を干すだけでも日に焼けそう。なんて言ってると九州での水害被害のニュースが流れてきました。佐賀の酒蔵の被害が大きかったようで「七田」や「東鶴」などは床上浸水に見舞われ、撤去作業を進めているようです。去年の山口・愛媛・広島の西日本豪雨といい、全国各地で天変地異の話が絶えません。佐賀の皆様の一日も早い復旧を心から願うとともに、「飲んで応援」しましょう。
さて どの業界にも今をときめく話題の人、活躍中の人というのはいるもので。その人たちというのは、大きく2つに分けることができると思うのです。ひとつ目はバランス感を持ち総評したり、人と人、国と国を繋げるジャーナリスト的立場の「バランサータイプ」の人。もうひとつは、バランス感を欠き振りきってしまっているオタクを極めたような人。(まぁ、どっちもたぶんオタクではあるんだけど)
後者のこの「振りきった人」っていうのが、なんていうか普通にしているとちょっと変な人だったりします。一心不乱にひとつの物事に打ち込み、コミュニケーション能力が怪しい人、独特の言語表現を操る人、人それぞれではありますが、どこかちょっと変わった風情。
でもその分、自分ならではの感覚で訓練を続けて続けてひたすら続けてある世界をパァっと花開いたりします。突き抜けた先で「キミ、変だけど面白いね」って興味を持ってくれる人たちが必ずいます。
日本酒の業界にも、ひたすら燗酒にこだわり続ける人、純米酒しか愛せない人、強靭な肝臓と胃袋を武器にリサーチしまくる人、引っ込み思案なのにお酒のことについてなら雄弁になる人、酔った時にだけ人と話ができる人、地理に明るいわけではないくせに米の産地には詳しい人…。聞いて「あの人かな」と思い描く人がいるかもしれません。
突出している所の分だけ、足りない部分が目立つんだけど、人間って誰かの不足しているところに愛おしさを感じる生き物だと思うのです。「そこに意味を見出したい」「足りないことを愛してあげたい」「わたしが不足を補ってあげたい」と無意識に感じるんじゃないでしょうか。偏りこそが人の魅力。
いつの時代も「振り切った人」が時代を変えていく。でもやっぱりそれだけではギスギスしておかしくなってしまうだろうから、間を繋ぐバランサー役の人も必要でしょう。適材適所。より日本酒が盛り上がりますように。