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ブレンド/ボタニカル添加/地域性の追求/の3本柱【友美の日本酒コラム013】おとついからの二日酔い

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「日本酒ブーム」なんて言われて久しいですが、いま酒造業界は頭打ち、天井が見えた状態になっていると言って間違いないと思います。個々の努力によって変わってはくるものの、業界全体としてここ数年は横ばい、また「2年連続売上げ前年比80%」はたまた「60%」なんていう話もよく耳にします。まぁ、そもそも前年比で語る仕組みがどうなのかっていう話はここでは置いておいて…。現状の市場では、ある程度飽和状態になっているということです。

これから10年。どれだけの酒蔵が残っているでしょうか。現在国内で製造をしている蔵の数は約1200。業界の特性上、回りの遅い打撃がじわじわと効いてくる体質なので「10年後蔵の数は半分になっている」…とまではいかないけれど、「3分の2に減っている」というのは現実的な話だと思うのです

 

それからM&Aでかなりの数が買収されることも予想されます。そうすると買い手側も選択肢が増え、その酒蔵を選択するメリットをよりシビアに判断されますよね。拾われない蔵も当然出てきます。
大々的に変えないといけないけれど、いきなりは無理だと思うので、まずは今後数年のトピックになってくることとしては、ブレンド/ボタニカル添加/地域性の追求/の3つだと感じています。


まずブレンド。

桶売り・桶買いが多かった時代なら、色んな蔵でお酒を造ってもらって、大手メーカーに持って行って混ぜて瓶詰めして出荷するっていうのは当たり前でした。別にいいと思うんだけど、自分の所で造っていない後ろめたさからか、このことは業界の暗黙の了解としてなんとな~く公で話すことがありませんでした。
その後、単一タンクで瓶詰めし、ワインのようにタンクや年ごとの違いを楽しんでもらう動きもあって、ブレンドというものは、地元用の普通酒・本醸造酒を除いて影をひそめてしまいます。

でもここに来て、クラフトジンやクラフトビールブームウイスキーをブレンドする技術力の高さが知られるようになるなど、従来の概念が通用しなくなってきています。そして、ずっと造り方を変えずブレンドによって、500年前赤穂浪士が飲んでいたのと同じ味わいの酒を届けよう!という『剣菱』にスポットライトが当たったり、『陸奥八仙』が「 blended 」と明記された商品を発売するなど、すでに風向きが変わってきています。ブレンドの重要性がさらに脚光を浴びるだろうと予想します。

次にボタニカルの添加。

東京の三軒茶屋を拠点にする『WAKAZE』は2016年1月設立されました。知ってますか?

どぶろく製造やオーク樽熟成の日本酒、柚子やレモン、山椒、生姜といったフルーツやハーブを取り入れたお酒を発信しています。発酵中のもろみに副原料を入れるなど、自由な発想が日本酒業界全体に驚きを呼んでいます。

 

日本酒専門店じゃなくても、チェックしておいた方がいい!今までの日本酒にはなかった、口に入れた瞬間の驚きと言ったら!びっくりしますよ~。国内外、他の醸造所もコレに続くだろうし、飲食店が倣って”日本酒カクテル”を出すケースは、もっともっと増えてくるでしょう。注ぐだけの時代の終焉です。

最後に地域性の追求。
「地酒とは何なのか?」というのは、日本酒業界の永遠のテーマですね。人々は都会に飽き始め、特に2020年を境に時代がガラリと変わるでしょう

地方に埋没した手垢のつかない”形のない”ものをみんな探し始めますーー星空なのか、穏やかな人たちなのか、のんびり進む時間、澄んだ空気や静かな波間や人里離れた山村。あらゆる自分だけの宝物を探し始めます。彼らに「ここだからこそ出来る日本酒」として納得して愛してもらえるのか。ひとつのテーマかと思うのです。そこの土地に関係ない彼らの自由な発言に、地元の人たちも影響されるでしょうからねぇ。

 

とにかく、日本酒がブームで終わらず、「文化」であり「日常」であるように。わたしは、牌を取り合うだけではない、自分にできることをやっていくつもりです。面白い思いつきがあったらご連絡ください〜♪

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ライター プロフィール

日本酒ライター 友美

関友美

日本酒ライター/コラムニスト/唎酒師/フリーランス女将/蔵人
「とっておきの1本をみつける感動を多くの人に」という想いのもと、日本酒の魅力を発信するさまざまな活動をおこなっています。 全国の酒蔵を巡り取材をしWebや雑誌への記事執筆、カルチャースクールのセミナーや講演、酒蔵での酒づくり、各地の酒場での女将業など、場所と手段を超えて日本酒のおいしさと、地域文化の魅力を伝えています。北海道出身。東京と兵庫の二拠点生活中。
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