ジャケ買いのすすめ④ ~春の巻その二「鶯」~
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庭のうぐいす はなびえ (福岡県)
今年の春は菜種梅雨前線が居座り、私の住む丸亀城の桜は4月9日現在八分先、満開までもう少し先になりそうです。嵐さえなければ、来週の週末までお花見が楽しめそうです。ただ、夜は花冷えが続きそうな感じでしょうか。そんな訳で今回のジャケ買いのテーマ、春の巻「鶯」と言うことで、庭のうぐいす「はなびえ」を取り上げました。
鶯は平地にて鳴き始める季節が早春であることから春告鳥ハルツゲドリの別名があります。本州中部あたりでは 2月初旬頃からさえずり始め、 8月下旬頃までがよく聞かれる時期で、10月頃まで弱いさえずりが聞かれることがあります。「ホーホケキョ」とさえずるのを初めて聞いた日を『ウグイスの初鳴日』と呼び、気象庁が生物季節観測に用いています。また、うぐいすは福岡県の県鳥でもあります。
花札の「鶴に松」「梅に鶯」とあるように、梅も春告鳥(ウグイス)も如月、弥生の春の季語です。
東風吹かば匂いおこせよ梅の花
主ないとて春を忘るな
~菅原道真~
雪分けて外山が谷のうぐひすは
麓の里に春や告ぐらむ
~西行~
が、ここは、「庭のうぐいす はなびえ」
この桜の季節に桜の下で飲んで欲しい。やがて、昼は春らしい温かい日、夜は花冷え桜が散る下で、「はなびえ」を飲みながら桜の季節を見送るのも一興でしょう。
お味の方はフレッシュで、とてもさわやかな香りが広がります。また、とても新鮮な弾けるような口あたりで、後味もスッキリとしたお酒です。
「庭のうぐいす」の由来(当蔵HPより)
ときは江戸天保年間、山口家の庭(現存)には、毎日のように天満宮からうぐいすがやってきてはうれしそうに湧き水で喉を潤し身体を清めていました。天神様のうぐいすに春眠を心地よく破られた山口家6代目当主山口利助は、その清き湧き水で酒造りを始めることを決意し、天神様に恥じない酒を造るとして天保3年(1832年)酒造業を開始することになり、その創業の精神が酒名の由来になっております。
庭のうぐいす飲み比べ
庭のうぐいすは、季節のお酒も「はなびえ」の他にも数種類造られています。
夏は、「なつがこい」「いなびかり」
秋は、「ひやおろし」「あきあがり」
お味については、また、その季節に書きたいと思います。個人的には、夏の飲み比べは、とても面白かったですね。今は、桜の下で、「鶯」を楽しみましょう。
最後に「花冷え」について
花冷えとは、春の季語で桜の季節の一時的な冷え込みのことを指します。本格的な春に近づく過程で一時的に冷え込むことを表現した言葉がこの「花冷え」という季語になります。
これが、一般的な花冷えの意味、使い方ですが、「花冷え」は日本酒とも密接に関係しています。花冷えは冷酒の呼び方にも分類され、10℃に冷えた日本酒を「花冷え」と呼びます。10℃の日本酒を口に入れると少しひんやりした感覚です。この感覚を春に肌寒く感じる時期である花冷えを使って表現されています。
庭のうぐいす「はなびえ」をぜひ、花冷えの夜桜の下で、「花冷え」でお飲みいただければ、桜に鶯がとまるかもしれません。
「ホーホケキョ」(笑)