日本酒唎酒師を認定する協会が500名限定の試飲会「STYLE J. SAKE」を開催 スタッフとして働いて感じた魅力とは
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日本酒を造る43蔵を始めとする出展社との交流を楽しみながら、日本酒と料理・酒器の組み合わせが楽しめる「STYLE J. SAKE」が2018年2月24日、東京のホテルメトロポリタンエドモントで開催されました。年に2回開催のイベントで今回は定員500名です。
会場の様子
同イベントは日本酒のソムリエである「日本酒唎酒師」を認定する「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)」と「NPO法人 FBO(料飲専門家団体連合会)」(2つは運営が同じ)が主催。酒蔵と飲み手の間に立ち、日本酒を飲み比べできるだけでなく、「日本酒と料理のペアリング」「さまざまな温度帯や酒器ごとの味の変化」を体験できる場になっています。
SSI・FBO専務理事の日置晴之さん
SSI・FBOの専務理事である日置晴之さんは、「もう3〜4年目の開催になりますが、参加者が良いなと思える飲み方を発見する場にしたいと思っています。嗜好は人それぞれですから、できるかぎり選択肢を多く提供できるように取り組んでいます」と語ります。
第2回酒友グランプリ会場の様子
用意された日本酒は銘柄が分からないように熟酒・薫酒・醇酒・爽酒の4タイプで分類。良いなと思った組み合わせを選んで投票します
日置さんの言葉通り、同イベントではこれまでにない日本酒と料理の組み合わせを決める「第2回酒友グランプリ」の投票会場を用意。定番のおつまみ「鯖の味噌煮」と、これまでなかった選択肢として「お好み焼き」の2種類に合う日本酒を選んで投票が行われました。
醤油のテイスティングを楽しむ参加者の皆さん
錫光(錫酒器)のブース
木本硝子(硝子グラス)のブース
また、日本の酒と醤油の相性を知る機会になればと「全国の醤油60銘柄テイスティング」、ヴェロチタ(伝統酒器)・錫光(錫酒器)・木本硝子(硝子グラス)の3メーカーの酒器展示、東洋大学学生が開発した「若年層に日本酒への興味を持ってもらうための手軽なおつまみ」など、さまざまな角度から発見のきっかけ作りを提供していました。
渡邊彩夏さんたちスタッフが受付で案内
参加者は、配布お弁当にぐい呑みを乗せて出展酒蔵ブースなどを無料試飲して回り、希望に応じてイベント専用通貨「酒仙人コイン」で有料試飲酒や料理とも交換可能。酒蔵の人と交流しながら時間まで思う存分に日本酒と料理を楽しむ様子が見られました。
爽やかな笑顔を見せるスタッフの山本陸さん
この日、筆者はスタッフとして会場の設営と撤収の手伝い、撮影記録係を担当。若い人にも日本酒を楽しんでもらえるようにとの配慮からか、運営スタッフの平均年齢の低さや東洋大学生とのコラボなど、これまで見てきたイベントと比べてフレッシュさを感じました。
それでは、最後に出展ブースを紹介します。筆者はスタッフゆえに一滴も試飲できなかったため、今回は味わいには触れずにアニメの舞台の日本酒、日本酒擬人化でタイアップ、インスタ映え、アイドル、マンガ雑誌紹介など、若い人が興味を抱きやすそうな視点からお届けします。
「蓬莱」渡辺酒造店(岐阜県飛騨市)
日本で一番笑顔があふれる蔵の木元茜さんと全国酒類コンクールグランプリの「隠し酒」
飛騨の自然の恵みをイメージすると美味しそうにしか見えない
2016年大ヒットアニメ映画「君の名は。」舞台の飛騨にある酒蔵「渡辺酒造店」。同作品で話題になった日本古来の「口噛み酒」をモデルにした日本酒「聖地の酒」が話題になったことから、日本酒を飲まない若い人にも多く知られる酒蔵です。
1870(明治3年)年に誕生し、北アルプス連峰や飛騨山脈などの山々に囲まれた古川盆地にある同酒蔵では、飛騨産の酒米「ひだほまれ」を使った酒造りに注力。「蔵元の隠し酒」が「春季全国酒類コンクール2017 本醸造部門」で1位、「純米吟醸 家伝手造り」と「聖地の酒」が 「春季全国酒類コンクール2017 純米吟醸・純米大吟醸部門」で1位、「小町桜」と「金紋小町」が「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2017 メイン部門」で金賞を受賞するなど、数々の受賞歴を持っています。飲みたかった!
「澤乃井」小澤酒造株式会社(東京都青梅市)
「神酒ノ尊-ミキノミコト-」澤乃井のイラストを展示していました
バンダイナムコエンターテインメントの新プロジェクトとして立ち上がった、全国に実在する酒造銘柄をイケメンキャラクター化した「神酒ノ尊-ミキノミコト-」にて、銘柄が登場キャラクターの1人「澤乃井」に擬人化された小澤酒造株式会社。
自然豊かな奥多摩の地で酒造りをしており、「酒造りに絶対はない」と語る杜氏によって毎年品質の向上に努め、近年は「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2017」大吟醸酒部門で金賞を受賞。定期的に酒蔵見学も実地しているので、ぜひ見学に行ってみてください。
「上善如水」白瀧酒蔵株式会社(新潟県南魚沼郡)
「白瀧酒蔵株式会社」営業推進部主任の坂下千宏さん
ボトルデザインがオシャレすぎる「上善如水」
どんな料理にも合うと思える、水のようにすみきった飲み口で知られる「上善如水」。実際に「なまの上善如水 純米吟醸」が「第1回酒友グランプリ」伝統部門準グランプリするなど、幅広い料理と好相性です。筆者も飲んだことありますが、口当たりがとても柔らかい。
味もさることながらボトルデザインがインスタ映え間違い無しのオシャレ感。「社内スタッフから意見を吸い上げて、広告代理店にイメージを伝えています」とのことで、社内スタッフの感受性の高さがうかがえますね。
「越後乃酒伝衛門」株式会社越後伝衛門
営業部長の曽根修次さん
成長速度がすごい
1996年に誕生したばかりの同酒蔵。90以上の酒蔵がある新潟県の中では歴史が浅いほうですが、新進気鋭の杜氏を中心に短期間で酒質を高め、「全国熱燗コンテスト」において「純米吟醸酒伝衛門」が2016年・2017年と2年連続で最高金賞、純米大吟醸「文」が2017年最高金賞を受賞しています。
マンガ『いっぽん!! ~しあわせの日本酒』の原作者・増田晶文さんのおすすめ銘柄として、マンガ雑誌『グランドジャンプ』で取り上げられたことも。知る人ぞ知る酒に留まらず、注目する人が増えていることから、なかなか手に入らなくなりそうな予感が。どうして飲めなかったんだ!
新潟ライスガールズ
結成5年目の全7人のユニットですが、この日は3人のみが来場
この日、新潟県が一昨年からPRに力を入れている、新しい新潟米「新之助」を一人でも多くの方に知ってもらおうと「新潟ライスガールズ」が来場。現役農家でありながらグループユニットとして接客をし、「新之助」の試食おにぎりを配っていました。「新之助」イメージモデルに俳優の杉野遥亮さんを起用、「新潟ライスガールズ」結成と、新潟県の新米ブランドにかける意気込みが伝わってきます。
この日、メンバーは3人しかいなかったのですが、あと4人いるとのこと。酒米だけでなく食用米で酒造りをする酒蔵も増えているので、「新之助」にもその予定があるかを、「新潟ライスガールズ」の3人にうかがったところ、「本当にまだ立ち上げたばかりのブランドだから分かりません。でもそういったお声が上がれば、あり得るのかもしれません」との答えでした。日本酒で飲める日が来て欲しいですね。
©女唎酒師軍団
この日、会場でパワフルさを感じさせた女性唎酒師軍団。熱燗にした銘柄を当ててもらうクイズを実地していました。SSI・FBOの専務理事である日置晴之さんの声かけから発足し、10年目を迎える軍団ですが、普段は個々で酒の会を開くなどしており、イベントがあれば軍団としてブース出展をするとのことです。
東洋大学
東洋大学国際地域学部国際観光学科2年の佐藤優さんと「スルメキムサム&シャキシャキアンジュ」
FBO・SSIと東洋大学飯嶋ゼミがコラボしたことで、会場には東洋大学ブースが出展。東洋大学生14名が4つのグループに別れて、従来のイメージにとらわれない学生ならではの目線で、4タイプの日本酒に合うおつまみを用意。
日本では韓国ブームという視点で「スルメキムサム&シャキシャキアンジュ」、インスタ映えを狙った「カンテリーヌ」(かぼちゃ、みそ汁×トマト、チーズ×カレー)、スイーツの意外性を知って欲しい「みたらし麩レンチトースト&梅味ソイタルト」、大人の気分を味わうための「チーズおかぺん&ちょこっと酒ケーキ」と、どのおつまみも参加者に好評でした。
インスタ映えを狙った「カンテリーヌ」(かぼちゃ、みそ汁×トマト、チーズ×カレー)
スイーツの意外性を知って欲しい「みたらし麩レンチトースト&梅味ソイタルト」
大人の気分を味わうための「チーズおかぺん&ちょこっと酒ケーキ」