2月4日早朝に酒屋が酒蔵に集合 立春の日に日本一売れる日本酒「立春朝搾り」出荷作業体験レポート
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「天覧山」五十嵐酒造株式会社(埼玉県飯能市)の2018年立春朝搾
旧暦の正月・立春の日に飲むお祝いの日本酒「立春朝搾り」が、2018年2月4日に全国各地43蔵から出荷されました。日本名門酒会の企画として1998年から始まった立春朝搾りは、2017年には1日で30万本以上が売れた“新年行事”と化しています。同日の早朝、43蔵の一つ「天覧山」五十嵐酒造株式会社(埼玉県飯能市)の出荷作業を体験してきました。
「天覧山」で知られる五十嵐酒造株式会社
毎年2月4日の早朝に絞ってその日のうちに飲める立春朝搾り。本来の日本酒造りとは違い、発酵がどのような状態であったとしても2月4日に待ったなしで搾らないといけないため、酒造りのスペシャリスト杜氏にしても難易度が高いお酒です。中には“最高ランク”に当たる「大吟醸」より神経を使うと言う杜氏も。
蔵元の人たちが未明から醪を搾り、近郊の「〈立春朝搾り〉参加加盟店」の酒屋が早朝から出荷作業のラベル貼りなどを手伝い、地元の神主さんがお祓いをした後にお店に持ち帰るのが毎年の恒例。同日は、埼玉県鶴ケ島市にある「キングショップ誠屋」の眞仁田清社長と一緒に出荷作業に参加しました。
7:00 加盟店が集合して開会のあいさつ
寒さが体の芯にまでしみこむ早朝に、近郊の酒屋25店が五十嵐酒造に集合。2018年の全国の参加加盟店は1000店以上で、この時点で販売数が31万本を超える見込みだと日本名門酒会から発表されました。五十嵐酒造会長のあいさつの後は、杜氏が2018年の立春朝搾りの仕上がりを語ってくれました。
五十嵐酒造会長
五十嵐酒造杜氏。蔵元における酒造りの最高責任者です
7:15 ラベル貼り作業
天覧山の上のラベルだけを貼って行きます
2018年は例年よりも寒いため、日本酒の発酵が遅れることが懸念されましたが、杜氏が「うまく仕上がった」と太鼓判を押してくれた立春朝搾り。工場ではまだ瓶詰めを行っているため、この時点で確定している出荷本数7300本あまりのラベルを貼りました。
瓶詰めされた立春朝搾りが文字通り山積みにされています
ラベルを貼っている間も蔵人たちが瓶詰め作業を継続中
「立春朝搾り」と書かれたラベルを貼って、12本入りの段ボールにまとめていく作業。出荷手伝いに来た酒屋のほとんどが常連で手慣れており、蔵元も早いと驚いていました。
キングショップ誠屋の眞仁田社長
皆さん真剣な表情。テキパキとした動きでラベルを貼って行きます
ラベルが貼られた立春朝搾りは、段ボールに入れて積み上げられます
7:45 朝食
蔵元の方が手作りの料理を用意してくれました。お米はさすがに美味しくて、けんちん汁で体が温まります
朝早いため蔵元の方が朝食を作ってくれています。おかずはサバの味噌、ポテトサラダ、お新香、小豆。デザートはみかん。ごはんと具沢山のけんちん汁はおかわりもできます。これだけ多くの酒屋が集まって食事をするのは貴重な機会でもあり、美味しいご飯のおかげで話が弾みました。
「天覧山」2018年立春朝搾り
食卓には搾ったばかりの立春朝搾りが。どこよりも早く試飲できるのも役得でしょうか。残念ながら車を運転する人は飲めないので、眞仁田社長の分も筆者が飲みました。絞りたてホヤホヤの弾けるようなフレッシュさは、今まで味わったことがなかったので驚きです。日本酒を絞ったその日のうちに飲める機会はそうそうないですよね。
8:30 お祓い
神主さんがお祓いに来てくれます
旧暦の正月の祝い酒であるため、出荷する前の立春朝搾りを神主がお祓い。最後は会長と酒屋全員で集合写真を撮りました。この日はNHKの取材も入っており、立春朝搾りがそれだけイベントとして広く浸透してきたと言えます。
会長と一緒に酒屋全員で一緒に記念写真
9:00 出荷
車に積んでくれる蔵元の人たち
記念写真を撮った後は順番に立春朝搾りを車に積んでお店へ。事前に予約した分だけでなく、少しだけ在庫に余裕があると聞いてその場で追加注文する酒屋も。結局、1本残らず完売御礼です。お店に立春朝搾りを持って帰ったあとは、予約しているお客のための仕分けと休む暇がありません。立春朝搾りに興味のある方、ぜひ近くの加盟店の酒屋に行ってみてください。
<日本名門酒会>