2018年新春!酒屋さんが注目する埼玉県の日本酒ベスト3
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国税庁の統計年報平成27年によれば、日本酒の生産量が多いのは上から順に兵庫県・京都府・新潟県・秋田県と、すぐに人気銘柄が頭に浮かぶ産地ばかり。そこに次いで全国5位の生産量を誇るのが埼玉県です。埼玉県民の筆者は、埼玉県鶴ケ島市にある酒屋「キングショップ誠屋」店主・眞仁田清志さんに、2018年注目する埼玉県の日本酒をうかがいました。
武蔵鶴酒造「イセヒカリ100%使用 純米大吟醸無濾過原酒」
埼玉県比企郡小川町にある武蔵鶴酒造。眞仁田さんが注目するのは「イセヒカリ100%使用 純米大吟醸無濾過原酒」です。1989年に伊勢神宮の神田で発見された「イセヒカリ」は、現在も伊勢神宮で神に捧げるお米とされ、食べても酒にしても美味しい優れた品質で知られています。そんな無農薬で栽培した「イセヒカリ」を使って醸したお酒なのです。
「香りがあって味もきれい。お米の持ち味がお酒の中に出ている。これからはお米の美味しさがお酒の中にどう出ているかで評価される時代になると思っています。無農薬で作っているところも、飲む人にとって安心だと思います」(眞仁田さん)
清水酒造「亀甲花菱 純米大吟醸」
埼玉県加須市にある清水酒造。家族だけで日本酒を醸しており、全国新酒鑑評会でも金賞を受賞しています。創業当時の酒造りのやり方を守りながらも、酒質の向上に余念がありません。口当たりの柔らかなお酒は飲み飽きしないので、食中酒にピッタリです。「香りはフルーティーだけど控えめ。基本的には落ち着いていて、料理に合わせやすいと思います」(眞仁田さん)
小江戸鏡山酒造「鏡山」
埼玉県川越市にある小江戸鏡山酒造。2007年に創業したばかりの新しい蔵元です。明治以来100年以上も続いた「鏡山」が2000年に途絶えたことを惜しんだ地元の有志たちによって再建された背景があります。杜氏を含めた蔵人(スタッフ)全員が30代と若い感性で美味しい日本酒を醸します。埼玉県で初めて開発された酒造好適米「さけ武蔵」を使ったお酒造りに力を入れるなど、まずは地元の人に美味しい日本酒を飲んで欲しい思いがあるそうです。「新しいことにどんどん取り組んでいるので、毎年楽しみにしています」(眞仁田さん)
これからの埼玉の日本酒
「キングショップ誠屋」では売上の半分近くが日本酒によるもの。平均20社の日本酒を置いている中で、埼玉県のメーカーは5社だといいます。そして、埼玉県産日本酒の売り上げ順位は全体で10位とのことでした。
平成28酒造年度の全国新酒鑑評会で金賞を受賞した埼玉県の日本酒が6点と全体で14位だったことを踏まえれば、現状の埼玉県産日本酒の人気や酒質レベルが見えてきます。
テレビでも取り上げられた南陽醸造「花陽浴」のように、全国的に知名度が高い日本酒も確かにありますが、ほかの産地と比べた時に酒質を上げていくには何が必要なのでしょうか。眞仁田さんに埼玉県の日本酒に今年は何を期待するかうかがったところ、「各蔵元さんが努力している中で、今の時代に合った新しい美味しさを持つお酒にどんどん出てきて欲しい」と答えをもらいました。冬場は埼玉県でも蔵元が集中して日本酒を造っている時期です。今年はどんな日本酒ができあがるのでしょうか。
<キングショップ誠屋>
住所:埼玉県鶴ヶ島市富士見2-18-14
営業時間:月・火・木・金10:00~19:00/土・日・祝10:00~20:00
定休日:毎週水曜日/第2日曜日(年末年始を除く)