酒販店・飲食店関係者に向けた“夏の日本酒試飲会” 消費者の求める日本酒の変化が顕著に
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酒販店や飲食店関係者に向けた夏の日本酒試飲会が4月11日、東京都日本橋馬喰町(ばくろちょう)にある「日本名門酒会」本部で開催されました。
火入れをせずに低温熟成させたフレッシュな生酒75銘柄と、キリリと冷やして美味しい純米・吟醸酒10銘柄の試飲と“夏酒”の注文、さらに全国から集まった16蔵元と直接商談ができる場です。日本酒業界関係者向けの試飲会は、マーケティング調査に基づいた消費者のニーズ変化をダイレクトに感じ取ることができます。
春は搾りたて新酒、夏は生酒、秋はひやおろし、冬は寒造りなど、仕込む時期によって風味が変わる日本酒。中間流通という立場の日本名門酒会は、季節酒の製造販売を蔵元と酒販店に長年提案してきた背景があります。同会企画部副部長の田村哲夫さんは、「これだけの夏酒の銘柄が集まった試飲会はなかなかないと思います」と夏酒の周知に手応えを感じている様子でした。
同日ブース出展していた「司牡丹」(高知県・司牡丹株式会社)の竹村昭彦社長は、「日本酒が一番売れるのは12月ですが、季節酒が増えたことで他の時期での売上も伸びている」と語ります。ジメジメした梅雨や真夏の炎天下では、フルーティーで酸があって美味しい夏酒が消費者に喜ばれていますが、ある酒屋さんの「一昔前は通年商品だけの蔵が多かった」という言葉を受ければ、消費者の需要も変わってきたと言えます。
また、会場には「肉に合う超辛口や生酛造りの日本酒」コーナーが。田村さんによるとこちらは消費者訴求の企画案で、「超辛口や生酛のお酒は色んな料理に合うのですが、逆にお客様はイメージしづらい。なので、夏はスタミナをつけるためには肉だということで、肉に合うラインナップを揃えた」そうです。
「180ミリリットルの五寸瓶詰め日本酒」コーナーを用意したのも、近年は定番の一升瓶(1.8リットル)の需要が一般家庭で減ってきたことが背景にあります。「重くて持って帰るのが大変」「家庭の冷蔵庫には1小瓶が入らない」「なかなか飲みきれず品質管理が難しい」などの声があるため、「四合瓶(720ミリリットル)以下での販売により力を入れていく必要があると感じています」(田村さん)。国内の日本酒の飲酒人口減少が叫ばれる中、消費者のニーズの変化への対応力がより一層求められます。
<日本名門酒会>