「秋田の酒きき酒会」 若い人の来場が増えた理由は?
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秋田県酒造組合による日本酒試飲会「秋田の酒きき酒会/秋田の酒を楽しむ会(2部構成)」が2018年3月7日、TKPガーデンシティ品川(東京都品川)で開催されました。秋田県は兵庫県や新潟県に次ぐ日本酒生産量を誇り、「新政」を始めとした多くの人気酒を生み出しています。
新政酒造株式会社代表者の佐藤祐輔さん
「秋田の酒きき酒会」は酒販店・飲食店業界関係者が、「秋田の酒を楽しむ会」は一般消費者が対象、どちらも秋田県27蔵が出展しています。全国の酒造組合ごとに試飲会は開催されますが、来場者からは「ほかと比べて秋田の試飲会には若い人が多く来ている」という声も聞かれます。
「若い人の注目が増えたのはNEXT5(ネクストファイブ)の影響が大きいと感じています」と語るのは、秋田県酒造組合副会長の斎藤雅人さん。「NEXT5」は、「白瀑」「ゆきの美人」「春霞」「一白水成」「新政」で知られる秋田県の5つの蔵元が、技術交流をかねて共同醸造するユニットです。
左から2015年、2017年、2016年のNEXT5共同醸造酒
2010年の結成時から毎回テーマが異なる日本酒を醸しているNEXT5。味だけでなくオシャレなボトルデザインも評判で、発売と同時にすぐ完売してしまうプレミアム酒として若い人にも人気です。
全盛期と比べて若い人の消費者が減り、“年輩者が飲むお酒”とも言われるようになった日本酒。秋田県内でも日本酒を飲む若い人が減っている現状で、「東京の試飲会は30年ほど前からやっていますが、NEXT5が結成された7〜8年前から若い人の来場者が増えています」と斎藤さんは言います。
「NEXT5」の活躍に刺激された他の蔵も負けるものかと燃えて切磋琢磨する事で、全体の技術が年々向上しているのも良い影響ですね」。斎藤さんは若い造り手も出てきたことや秋田県全体の酒質向上に、良い流れを感じているそうです。
秋田県が開発した酵母で造った日本酒が試飲できるブース
秋田県では県内独自の酵母開発にも力を入れており、香りが華やかな吟醸酒用の「秋田流花酵母・AK-1」を始め、現在まで11種類を開発。斎藤さんの「次世代に飲んでもらわないと、日本酒は途絶えてしまいますから。ずっと課題ですね」という言葉通り、危機感が強いからこそ、酒質向上に余念がないのだと感じました。
「2017 ミス日本酒 秋田代表」戸嶋一葉さんも会場に
ブースを順番に回って来場者に日本酒を注ぐ戸嶋さん