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酒どころ西条歴史

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日本の三大酒どころがどこか、ご存知ですか?
京都府の伏見、兵庫県の灘、そして広島県の西条です。今回は、西条がなぜ「酒都」と呼ばれ、日本でも有数の酒どころになったのかをご紹介します。

伏見と灘だけで日本酒の50%以上を生産

出典:写真AC
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2013年日本酒の生産ランキングによると、灘と伏見で清酒の国内生産量の50%をしめます。次いで新潟、秋田、愛知と続くのですが、西条のある広島県は8位、約10,400キロリットルの生産量です。
兵庫県の132,200キロリットル、京都の72,300キロリットルと比べて非常に少なく、なぜこれで「酒どころと言えるのか?」と疑問に持つ方も多いと思います。

酒都・西条の始まりは江戸時代末期

出典:インスタグラム
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灘では14世紀(1330年代)には始まっていたといわれますし、伏見で酒造りが発達したのは16世紀(1500年代)ですが、その始まりは稲作が行われた弥生時代までさかのぼります。

西条にも1675年創業の白牡丹酒造がありましたが、それは古い製法を引き継いだ地元で飲まれる酒造りでした。このころには、まだ現在の三大酒どころの様相は西条にはありませんでしたが、その歴史が動き始めたのは江戸時代の終わりごろからです。

西条は周囲を山に囲まれた盆地です。この盆地特有の気候は酒造りの発酵や貯蔵に適しています。さらに、周囲の山からもたらされる水はおいしく、まさにおいしい酒造りに適していたといえます。そこで、現在に続くようなおいしい酒造りを目指すことになったのです。

最初はおいしい酒が造れなかった

江戸末期から明治にかけて西条の酒造りの手本となったのは、灘の醸造法です。酵母も灘から取り入れましたが、まったくおいしい酒が造れません。なぜなら、灘はミネラルが豊富に含まれた硬水ですが、西条では軟水だったからです。
酒好きの方はすでにご存じでしょうが、硬水(硬度6~8)のカルシウムやマグネシウムなどのミネラル豊富な水ではこれらが公募の栄養素となって発酵が活発に行われ、キレのあるアルコール発酵が行われます。しかし、軟水では酵母のエサが足りないため発酵が思うように進まず、べたっと甘い酒しかできず、しかもすぐに腐ってしまうのです。

三浦仙三郎6年の取り組み

出典:wikipedia「月桂冠酒造」
出典:wikipedia「月桂冠酒造」

当時西条よりも酒のうまい産地として同じ県内の安芸津がありました。のちに「吟醸酒の父」と呼ばれる三浦仙三郎は安芸津の出身で1876年(明治9年)に地元安芸津、三津で酒造業を起こしました。しかし、こちらでも軟水のためおいしい酒造りに行き詰まります。三浦は、灘、伏見で酒造を一から研究しなおし、1892年(明治25年)になってようやく水質によってできる酒に違いが出ることを突き止めました。
出典:写真AC
出典:写真AC

三浦は、灘とは全く違う酒を軟水でも作るための試みを開始します。軟水には麹のエサが少ないのですから、それでもしっかり発酵させるため、できるだけ麹をしっかりと育てました。麹が十分に育つと、コメの糖化も進み発酵につながります。コメの糖化は発酵を助けるだけではなく、コメの豊潤な味わい、濃厚な香りも生み出しました。1898年(明治31年)ようやく軟水でもおいしい酒を造る「軟水醸造法」が完成すると、三浦は文書にまとめて積極的に杜氏の育成を行います。
そして、明治40年東京で開かれた第1回「全国清酒品評会」で「広島の酒」は灘、伏見を制し圧勝し、これを機に一気に「日本の三大酒どころ」として名声を博すことになりました。

現在の西条と安芸津、そして竹原

出典:wikipedia
出典:wikipedia
さて、最後に三浦仙三郎など「安芸杜氏」が活躍した西条とその周辺で栄えた酒蔵の現在についてご紹介します。
JR山陽本線西条駅周辺には8軒の酒蔵があります。なまこ壁を残した酒蔵も多く、レンガ造りの煙突が並ぶ風景は、どこか懐かしい雰囲気があります。また、毎年10月に行われる「酒祭り」では毎年20万人以上の観光客が集まります。一方、三浦が生まれ育った安芸津は、大正時代までは24以上の酒蔵がありましたが、現在は2軒だけです。さらに、「マッサン」で有名になった竹原も3件の酒蔵が残っています。このマッサンの父親、竹鶴敬次郎は、明治のころ三浦とともに酒の改良に取り組んだメンバーの一人です。そして、現在西条で最も大きい酒蔵である賀茂鶴酒造の元専務の息子、石川さんは竹鶴で杜氏を務めています。安芸杜氏の酒造りの思いは綿々と続いています。
西条にお越しのチャンスがあれば、安芸津や竹原も一緒に訪ねてみてくださいね。

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ライター プロフィール

日本酒ライター misokko

misokko

三度のご飯よりお酒が好き。ひとり飲みはお酒と語らう極上の時間。