琥珀色の極上日本酒「貴醸酒」とは?
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2016年は日本酒ブームの年といわれています。様々な酒造メーカーが、これまでの日本酒のイメージを変えるべく、ラベルや瓶をおしゃれにしたり、微炭酸の日本酒商品を開発したりしました。商品のラインナップが出そろった感はありますが、その中で「貴醸酒」という日本酒を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?今回は、かつて日本酒のイメージを革新した「貴醸酒」についてご紹介します。
「貴醸酒」とは?
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貴醸酒はいつも皆さんが召し上がっている日本酒とどこが違うのでしょう?
通常、日本酒を仕込むときには原料のお米と麹を水で仕込みますよね。一方、貴醸酒はお米をお酒と水で仕込みます。仕込みの原材料や、仕込み水、酒の割合は商品によって違いますが、、貴醸酒を貴醸酒で仕込むという、とても贅沢な貴醸酒も存在しますよ!
「貴醸酒」の歴史
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さて、この貴醸酒の歴史はまだ浅く、日本で初めて作られたのは1973年です。「国賓を招いた晩餐会にでも合う高級なワインに匹敵する日本酒」をコンセプトに、国立醸造試験所で佐藤博士らによって開発され、その製法は特許を獲得しています。
翌年1974には特許性法をもとに、広島県呉市の榎酒造が「誰も飲んだことのない日本酒を作って日本酒の幅を広げたい」と、商品開発に乗り出します。
異端のお酒「貴醸酒」
貴醸酒はお酒をさらに仕込んで作ります。酒で醸すことで、酵母のアルコール発酵は通常よりもゆっくりと進みます。そのため、エキス分の多い、濃厚な香りのするお酒に仕上がり、熟成段階では徐々に琥珀色に色づきます。
今では、この琥珀色こそ貴醸酒の象徴と思われていますが、発売当初は「日本酒は透明で澄んだもの」というイメージが強かったため「こんな酒は日本酒ではない!」と、ひどい評価を受け、販売戦略にも苦慮していました。
「貴醸酒」名前の由来
貴醸酒は“貴腐ワインにも負けない芳醇な味わいを持つ醸造酒”であることから開発当初に名づけられました。貴腐ワインとは、特殊な白カビに感染した糖度の高い貴腐ブドウを原料に作られる白ワインです。とても甘く、食前酒として楽しまれますが、貴醸酒も甘く口当たりが滑らか、豊かな味わいです。
「貴醸酒」に合う食べ物
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貴醸酒は濃厚な香りとコクがある甘いお酒です。また、日本酒より酸味があるのも特徴の一つです。パンチのあるお酒ですので、てんぷらや、豚の角煮など少し脂っこい料理に合わせるとおいしいですよ!また、フォアグラと一緒に召し上がるのもおすすめです。甘いお酒に?と思われるかもしれませんが、貴醸酒は甘口ですが、後味がさっぱりしているので、こってり料理にはぴったりなのです。
また、貴醸酒はデザートとしても楽しめます。アイスクリームの上からとろりとかけて召し上がったり、ワインやウイスキーのようにチョコレートやドライフルーツと一緒に飲んだりするのもいいですよ。
貴醸酒はグラスで召し上がれ!
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貴醸酒は味と香り、そして醸造によって色づいた琥珀色を楽しんでもらいたいお酒です。ロックでも燗でも構わないのですが、酒器にはぜひグラスを使ってみてください。また、貴醸酒も新酒では通常の日本酒のように透明なものもあります。熟成させた貴醸酒では感じられないフレッシュな味わいと色も、グラスに入れて違いを楽しんでいただけたらと思います。
商品の幅を広げた結果、今、若い女性を中心に日本酒ブームが起きています。新しい日本酒の先駆けとなった貴醸酒も女性には受け入れられやすい味ですので、ぜひ飲んでみてください。