渋谷道玄坂で日本酒立ち飲み!「SAKESTAND」で夏酒を飲みながらリスクヘッジを学ぶ
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東京都渋谷区、道玄坂の坂の終わりあたりにひっそりとある「SAKESTAND」。道玄坂の終わりかけなので、渋谷っぽい…というより、少し三軒茶屋を感じる門構え。
しかし、斜めになった標識がちょっとした渋谷感を演出しています。パリピがハロウィンで曲げたのでしょうか。
「SAKESTAND」は、2015年にオープンした日本酒スタンド。チャージなしで、お酒もフードも、全てのメニューが500円以下で味わえます。SAKESTANDでまったり一杯飲みながら、店長の野田さんとちょっとだけ真面目なお話をしてきました。
パリピが曲げた標識、入り口部分だけピンクに塗られた壁、いい感じの電光掲示板。階段をのぼると壁一面、日本酒のラベル・ラベル・ラベル。お気に入りの日本酒のラベルを集めて貼り付けた、スクラップブックのような壁。
スクラップブックの階段をのぼりきると、なんともかわいいワンコが寝そべっている!「コイツは人間か?」と言わんばかりのジト目も、かわいい。この記事を書いている今も思い出しかわいいできるくらいにかわいい。
かわいいワンコの誘惑を乗り越えるとカウンターが。SAKESTANDはキャッシュオンなので、このカウンターで日本酒を注文します。
私が選んだのは「株式会社せんきん」の「特別純米 羽水 夏酒」。店長の野田さん曰く、「女性のお客さんも多いので、飲みやすいものをチョイスしています。」とのこと。
少し甘めだけど、嫌な甘さじゃない。さっぱりとした甘みと酸味のバランスがちょうど良くて、グイグイいってしまう。「リンゴにかぶりついたような」とラベルに書いてある意味がしっかりと伝わります。
後味もスッキリしているので、フルーティーな日本酒にありがちなご飯と一緒はちょっと合わない、ということがありません。オススメの温度は10℃ですが、もう少し冷やしたり、ロックにしたりしても美味しそう。来年の夏に、また飲みたい!
一緒に頼んだフードは、「若鶏のレンコンチーズ」。ボリュームたっぷり、肉も野菜もチーズも入ってワンコイン。しかも、店長の野田さんによる手料理。誰かの手料理が食べられて、美味しいお酒が飲めて、リーズナブルなお値段。
こんな素敵なお店に出会えるなんて、前世で貯めた徳を使い切った感がある。
SAKESTANDは、細長いタイプの間取りで、だいたい20名ほど入店できます。だけど20名入るときつきつになってしまうとのこと。もともと立ち飲み屋が好きで、立ち飲みを選んだのですか?と聞くと、「リスクヘッジをしまくった結果です(笑)」
……なんて現実的な回答。
「お店は、ただ『好き』というだけじゃダメなんですよね。日本酒も、食べることも好きだけど、きちんと計算をしないとお店はやっていけない。人件費や家賃など、リスクヘッジをしまくった結果の日本酒スタンドです。」
「日本酒も好きだけど、特別めちゃめちゃ好き、というわけではないんです(笑)例えばワインのスタンドにしようと思ったら、ワインに合う料理を作るのが大変。料理を作りながら、ワインを出して。一人でやるのはちょっと無理がある。一人でもできそうだなって思ったのが、日本酒と和食だったんです。」
「お店を開こうと思ったのは、『会社員が向いてない』ってことに気が付いたからなんです。でも、ずっと、心のどこかで『私はお店を開くんだろうな』って思っていました。自分が好きなものをたくさん集めた居心地がいいお店を。」
「会社員に向いていないなって思ってから、医師や会計士の資格を取ろうとしてたこともあるんですよ(笑)だけど、やっぱり自分は組織に向いていないから、お店を開こうと決めました。修行…と言ったら大げさですが、飲食店に就職をして、技術を学んで。そして今です!」
同じく、会社員が向いていないからフリーランスのライターになることを選んだ自分としては、すごく共感ができるお話。
「SAKESTANDのコンセプトは、全てのメニューは500円以下、1人でふらっと立ち寄れるお店。『30分時間ができたから、ちょっと寄って行こうかな』と思ってもらえるような、使い勝手がいいお店であることにこだわっています。そんなSAKESTANDを気に入ってくださったお客様は常連さんになってれることも多くて。来店頻度が週5、6のお客様もいらっしゃるんですよ(笑)」
リスクヘッジを考えながらも、コンセプトは絶対にずらさない。自分の考えをブラさないで営業を続ける芯がある女性だからこそ、常連さんに愛され、犬に愛される…。
立ち飲みで安い価格帯、となると、サラリーマンのおじさんがわんさかいる新橋の飲み屋を思い浮かべる人も多いですよね。
ですが、SAKESTANDはおしゃれな空間を楽しみながら、野田さんがセレクトした日本酒を味わえる、どんな人でも気軽に立ち寄れる日本酒スタンドです。
渋谷で30分。いや、20分でも時間ができたときには、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。