美酒王国・秋田の酒が大集合!秋田県酒造組合主催「秋田の酒きき酒会」
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37もの酒蔵が存在する秋田県。しかもその多くが「おいしい」と秋田県内だけでなく、全国的に高い評価を得て、盛り上がりを見せています。本イベントは、秋田県酒造組合によって年に一度、東京でおこなわれます。一部が業界関係者向けの試飲会、二部(夜の部)が一般消費者向けの宴です。現在「秋田の酒を楽しむ会」が開催中ですが、気になったチェックすべきお酒、酒蔵を中心に、第一部の様子をお届けします。
秋田の酒きき酒会
- 日時:平成30年3月7日(水)13:00~16:00
- 対象:酒販店・飲食店・業界関係者 (※一般の方は入場できません)
- 住所:〒108-0074 東京都港区高輪3-13-3 TKPガーデンシティ品川
- (SHINAGAWA GOOS 1F)
- <参加酒蔵(全27蔵)>
- 新政(新政酒造株式会社)/ゆきの美人(秋田醸造株式会社)
高清水(秋田酒類製造株式会社)/秋田晴 (秋田酒造株式会社)
銀鱗(株式会社那波商店)/一白水成(福禄寿酒造株式会社)
太平山(小玉醸造株式会社)/北鹿(株式会社北鹿)
山本(山本合名会社)/秋田誉(秋田誉酒造株式会社)
雪の茅舎(株式会社齋彌酒造店)/天寿(天寿酒造株式会社)
飛良泉(株式会社飛良泉本舗)/出羽の冨士(株式会社佐藤酒造店)
春霞(合名会社栗林酒造店)/出羽鶴(秋田清酒株式会社)
刈穂(秋田清酒株式会社)/千代緑(有限会社奥田酒造店)
秀よし(合名会社鈴木酒造店)/奥清水(株式会社高橋酒造店)
阿櫻(阿櫻酒造株式会社)/天の戸(浅舞酒造株式会社)
まんさくの花(日の丸醸造株式会社)/両関(両関酒造株式会社)
爛漫(秋田銘醸株式会社)/福小町(株式会社木村酒造)
一滴千両(秋田県醗酵工業株式会社)
秋田の酒を楽しむ会
※チケットは既に完売しています。
- 日時:平成30年3月7日(水)18:30~ (受付17:30~)
- 対象:一般消費者 500名(着席)
- 参加酒蔵:同上
▲各テーブルには仕込み水が置かれ、自由に飲むことができます。
まんさくの花(日の丸醸造)
▲仕込みの忙しい中、高橋杜氏が上京し私たちを出迎えてくれました。29BYの新酒である「純米大吟醸まんさくの花 山田錦38」をはじめとして、みんなから愛されている「うまからまんさく」や限定流通の「まんさくの花MK-X」、リキュールなどさまざまなお酒を楽しむことができました。
大平山(小玉醸造)
▲メインブランドの「大平山 天巧(てんこう)」だけでなく、新しく発表された「Peaceful Mountain」シリーズを試飲することができます。ソムリエ資格を持つ社員が中心となって「ピースフルな気持ちで飲めるお酒」というコンセプトで生み出した軽やかなお酒。ブラックは昨年(28BY)からスタートした秋田県花酵母を使用した少し華やかなタイプ。ブルーは今年(29BY)出されたばかりの協会14号(金沢)酵母をつかった上質な白ワインをイメージしたタイプ。(金沢酵母を発見したかたが秋田県出身というご縁で、使用して醸造にチャレンジしてみたそうです。)
山本(山本合名会社)
▲「セクスィー山本酵母」や「山本ウキウキ」などユニークな商品名で有名な「山本」。今回お勧めするお酒の名前も「山本 秋田ロイヤルストレートフラッシュ」と、かなりセンセーショナルです。その正体は、秋田県産酒米5種と秋田県酵母5種で仕込んだ、生粋の秋田酒。名前はかなり強烈ですが、お酒自体はやわらかさを感じる、おだやかなもの。できて3日以内に瓶詰し、その後火入れ処理は一回だけしかしないという「山本」は、瓶内で二次発酵しているため、舌先にピチピチ、プチプチとしたガスを感じます。
春霞(栗林酒造店)
▲「春霞」は特別出品のお酒も含めて7種類を出品(…の予定でしたが、輸送の手違いなのか?生酒が会場に届いていなかったそう)。使用する酵母は、KA-4と蔵付きの亀山酵母を使用。来場したプロの多くが「さすが春霞」と頷くほど、今年も安定した良い出来上がりです。
飛良泉(飛良泉本舗)
▲定番の速醸タイプ「飛良泉」4種類と「マル飛」シリーズ4種類の2タイプがラインナップ。もともと山廃を得意とする飛良泉本舗が、そのなかでチャレンジして遊び心を持たせてみよう!とはじめたのが「マル飛」シリーズです。だからすべて山廃純米、米は「美山錦」と「秋田酒こまち」で統一し、酵母やつくり方によって味わいを大きく変化させています。
「マル飛NO.77」はリンゴ酸多産性酵母で、その名の通りリンゴのような強烈な酸が出る甘酸っぱいお酒。「NO.24」は4種類の中で最もやわらかさを感じるお酒。「NO.12」は最も山廃らしい果実味のある酸味を感じます。「NO.15」が米の旨味を多く感じる4種類の中で真ん中に位置しそうなタイプ。お店で飲み比べするのも面白そうです。
角右衛門(木村酒造)
▲「福小町」2種類、「角右衛門」5種類がラインナップ。日本酒ビギナーにも優しい、香りが華やかで芳醇な味わいのお酒が多いのがこちらの蔵の特徴。しかしただそれだけではなく、味わいを出し、食事と合わせたり、長時間飲むことができるようにと研究を重ね、現在では種麹を10種類以上も使用しているそうです。
天の戸(浅舞酒造)
▲森谷杜氏が直接説明をしてくれました。「貴醸酒 木樽熟成 貴樽」は、貴醸酒をつくった後で長野県の小布施ワイナリーのシャルドネの樽で寝かせてから出荷する商品。貴醸酒と強すぎない白ワインの木樽の香りがバランスしている、気品ある面白い一品です。今期からつくりを少し見直したという「天の戸」。「酸を出さないように」というネガティブな発想ではなく、より軽やかな酒質を目指し種麹に着目し、変更を加えたそうです。その甲斐あって、口の中を風が通り抜けるかのようにスーッと甘みと旨味が消えていくさわやかがプラスされました。今後ますます注目すべき蔵のひとつでしょう!
天寿(天寿酒造)
▲「影島鳥海山 生酛純米大吟醸」「純米大吟醸 鳥海山」は出会ったら絶対にチェックすべきお酒です。軽やかさと甘みが共存し、ふわりと消えていく。あえて方言を使わせていただくと「いくらでも飲まさる酒」と言えます。飲食店で置いておけば、あっという間に2合、3合…と空くことでしょう。今一度見直したい良酒。
千代緑(奥田酒造店)
▲製造わずか280石。5人で醸す、秋田県でもっとも小さな酒蔵です。秋田県酵母をつかったシリーズ、そして蔵付き酵母を使用した定番の2シリーズ。小さい蔵ながらも毎年さまざまなチャレンジをしていて、酵母は10種類も使用しているそう。お米に関しても29BYは地元産の酒米「亀の尾」を入手し、300kgの少量だけを醸しました。これが美味しい。ぜひチェックしてみてください。
このほかにもさまざま気になる蔵、お酒がズラリと並んでいました。まさに「美酒」という名にふさわしいきれいで雑味なく、はかなげに口の中を消えていく。だから「あれ?」と思ってまたひと口飲んでしまう――そんな日本酒が多い印象の秋田県。
第二部は現在開催中。残念ながらチケットが手に入らなかったかたも、来年は早めにチェックして、ぜひ参加してみてくださいね。