バルより気軽な立ちのみ「角打ち」とは?
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ここ数年、ブームになりつつある「角打ち」をご存知ですか?もともとは酒屋の陰で客が待ちきれずに買ったお酒を飲んでいたことを指していました。最近では、サービスとして行う酒販店も増えてきている角打ちについてご紹介します。
「角打ち」って?
角打ちとは酒屋さん(酒販店)でお酒を飲むことです。
ちょっとしたイートインスペースを設けている酒販店もありますが、完全に店内のカウンター、それよりもちょっと奥で立ち飲みスタイルや、店先に並んだビール箱をテーブル代わりにしている酒販店もあります。
基本的に角打ちを行っている酒販店では、頼んだお酒はお店の人がコップについでくれますが、それ以外はセルフサービスです。飲み終わったコップは自分で流しに運んだり、お店の人に返したりします。
角打ちはサービス禁止
角打ちは「酒販店で買ったお酒を、客が勝手にその辺で飲んでるだけ。」というものです。
というのも、お酒とお料理を提供するサービスは「飲食店」しか行うことができません。飲食店の定義は、食品衛生法で “食品もしくは添加物を採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、もしくは販売することもしくは器具もしくは容器包装を製造し、輸入し、もしくは販売することを営む人もしくは法人または学校、病院その他の施設において継続的に不特定もしくは多数の者に食品を供与する人もしくは法人をいう。”と、決められており、その営業には、食品衛生法第52条の規定により、保健所を通して都道府県知事の許可が必要です。
そのため、酒販店はお酒の他には、缶詰や、おつまみをお客さんに販売しますが、サービスは提供できないのです。
「角打ち」を行う酒販店が増えた背景
角打ちを行う酒屋が増えた背景には、昔ながらのスタイルの酒販店経営が難しくなっていることがあげられます。酒販店にも免許が必要ですが、酒販免許の規制が緩和され、町にディスカウント店や、薬局、コンビニなど安くお酒を販売する店舗が増えました。
そこで酒販店は、立ち飲み文化として江戸時代から行われていた「角打ち」を取り入れ、新規の顧客開発に乗り出しました
一方お客さんには、バーで飲むより安価に飲めるということと、専門店ならではの希少なお酒を適正価格で楽しめるというメリットがあり、今回のブームにつながったと思われます。
「角打ち居酒屋」というのもありますが?
居酒屋は立派な飲食店ですので、フルサービス(?)です。店名に「角打ち」を使うのは角打ちがメジャーになりつつあり、響きがいいから、と推察されます。バル風居酒屋と同じ様に一人でも気軽に飲みにきてくださいね!というメッセージが込められているのでしょう。
「角打ち」の楽しみ方
角打ちでは酒販店がおススメのお酒を提供してくれたり、お酒の知識を教えてくれたりします。お酒のちょっとしたトリビアをお店の人からもらい、試飲代わりにお店のお酒を飲むことができます。気に入ったら、購入してゆっくり自宅で飲みなおすのもいいですね!
また、角打ちで古くから行われていた習慣があります。それが、箸代わりに串や爪楊枝を使うというモノです。これは、先ほど説明した酒販店と飲食店のサービスの違いから発生しました。酒販店で箸をお客に出すと飲食店ではないか!と指摘を受けたお店が、焼き鳥串や爪楊枝をなにげなく置いておき客が勝手に使っている、と説明したのだそうです。現在では、お箸を使わせてくれる酒販店も多くありますが、もし爪楊枝や串しかなくても、それはそれで角打ちならではと楽しんでください。
いかがでしたか?角打ちを楽しむためには、まず酒販店で何度か買い物をしてお店の人と仲良くなっておくことです。そしてお店の片隅でおいしいお酒を片手に、日本酒談義・お酒についてのうんちく話に花を咲かせてください。