旭川の老舗蔵「高砂酒造」のお酒だけを集めた「国士無双の会」に行ってきた2
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「国士無双」といえば名前の印象通り、鮮烈で男気溢れる味わいで昔からの日本酒好きを「これだ!」唸らせる名酒です。
大雪山の雄姿を思わせる香りの幅、北海道の冬の空気のようなクリアな酒質、力強さの後に来る優しさは雑味のなさと米のうまさが成せる技。
口に含むと細胞に入り込むが如く、シルクのような舌触り、鼻から抜ける香りは確かに「米」といった風で、どの銘柄を飲んでもとにかく「旨い!」としか言いようがありません。
しかしそれではレポートになりませんから、ここからは飲んだ9銘柄とその味の詳細をご紹介します。
1本目「大吟醸酒 氷温貯蔵 旭神威」
高砂酒造の新レギュラーである「旭神威」の緑色のボトルは、りんご系のさわやかな酸味を纏いながらも刺激は薄く、すっきりと飲みやすい一本でした。食前酒としていただきましたが、前菜にぴったりなイメージです。今までの国士無双とは一線を画し、新しい風を感じました。
2本目「秋季限定 純米国士無双 ひやおろし」
数量限定、人気の「ひやおろし」は、国士無双特有のクリア感の中に米の旨みがしっかりと含まれていました。一口目の印象はキリッと辛口、かと思いきや後味には甘みも感じられ、女性にも好まれる雰囲気を持っています。
3本目「純米辛口 開拓魂」
これぞ地酒!これぞ辛口!といった風。米の旨みに刺激的な辛みが追随し、濃厚さもありながら国士無双ならではの淡麗感も失っていません。まったりしすぎる純米酒をきれいに仕上げた一本です。
4本目「若蔵 KURAChallenge 2017」
蔵の新進気鋭の若手らが、立案から販売までを行う数量限定酒「若蔵」の2017年酒です。以前よりお気に入りの居酒屋にて取り扱っていたのでその名は知っていましたが、今回初めて味わいました。
甘口ということで飲みにくいかと思いきや、適度な若さを纏い飲みやすく、流行の洋梨の香りが女性を虜にする雰囲気です。しかし奥には「芯」となる男くささも感じられ、何杯も飲んでその味を確かめたくなる日本酒でした。
5本目「一夜雫」
氷室の中に酒袋をつるし、自然と雫が落ち貯まるのを待つ、厳寒の旭川だからこそ生まれた銘柄「一夜雫」。多くのファンに惜しまれながら、温暖化の影響により2016年で生産終了となりました。
その貴重な「一夜雫」をいただきました。その昔、初めてこれを飲んだときに感じた爽やかさとクリアな味は健在です。この安定感と安心感は高砂酒造ならではと言えます。これがなくなったのは実に惜しいです。口当たりまろやかで、日本酒好きなら必ず唸るでしょう。
6本目「金賞受賞酒 国士無双 大吟醸」
北海道の酒米「彗星」を使用した逸品。国士無双に彗星は良く合うだろうと思ってはいましたが、まさに彗星の良さと国士無双の良さを上手に引き出している一本です。とにかく美味しく、大吟醸が苦手な私でもするすると飲めました。これぞ老舗の実力!貫禄が違います。
7本目数量限定生産「純米吟醸酒 農家の酒」
参加者の方の中で、こちらはデイリーに飲める一本と評している方がいましたが、まさしく毎日飲んでも飲みあきせず、それでいて味もある、まさに「のまさる酒」といった印象でした。こちらも彗星100%、柑橘のさわやかさが際立ち、食中酒に最適です。
8本目「国士無双 梅酒」
オリゴ糖入りでおなかにも優しいすっきりとした梅酒です。近年日本酒で仕込まれた梅酒は各蔵で販売し「すっきりした梅酒」として人気を博していますが、国士無双の梅酒はさらに爽やか。梅をそのまま楽しんでいるようなフレッシュ感もあり、酸味が丁度良く、男性でもすいすい飲めそうです。
9本目「国士無双 利尻昆布梅酒」
国士無双の会最後の一本は、燗で登場した「国士無双 利尻昆布梅酒」です。これがまたまさに「梅昆布茶」そのもので、食後にぴったりでした。昆布の旨みに梅の酸味、適度な甘みは北海道の大地の恵みであるビートオリゴ糖から。北海道を愛し、北海道に愛されている高砂酒造ならではの個性的な梅酒です。
一参加者としての感想
初開催とは思えぬ大盛況ぶり。高砂酒造の執行さん、主催の西田さん、そして参加者の皆さんすべての熱量で、会場は熱気ムンムンでした。
私はほぼ知り合いがおらず初めて顔を合わせる方々ばかりでしたが、皆さん同じ日本酒が好きという共通点があるからか、全く人見知りすることもなく最後の最後まで楽しく過ごすことができました。
「やはり地酒の持つポテンシャルは計り知れない」
高砂酒造の一ファンとして、このような会がこの地でまた開かれ、北海道の地酒がより愛されていくことを心より願っています。
旭川の老舗蔵「高砂酒造」のお酒だけを集めた「国士無双の会」に行ってきた1