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『今宵にほんしゅ三昧』日本酒との運命的出会い、私は千葉のあの酒。あなたは?

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ひとりでそっと夜に浸りながら呑むとき、手元においてなんとなく読んでもらいたい。日本酒にまつわる情報やお話しを日本酒ライター・友美がお届けする連載です。

 

「日本酒のライターをやっています!」と言うと、いつも聞かれることは決まっています。「お勧めの日本酒は何ですか?」と「相当量呑まれるんですよね?(ニヤニヤ)」

次いで多いのは、「日本酒を飲むようになったキッカケってなんですか?」という質問です。

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  • photo by yukayabuki

 

正直、はじめて日本酒に出合った日のことを覚えていません。

それくらい昔から色んなお酒を手当たり次第、飲んでいましたから(笑)

ただ、ウイスキーやワイン同様に、当然味わうべきお酒だったというのは特筆すべき点。日本酒が苦手な方にその理由を聞くと、多くの方が「昔ムリヤリ吐くまで飲まされて…」と仰います。

わたしの世代は、「アルハラ=アルコールハラスメント」という概念が認識され、無理強いは咎められる雰囲気のなかお酒人生を歩んできましたため、幸運にも日本酒で辛い思いをした経験はありません。(或いはその中でも、わたしがより幸運だったのかも)

 

では、他と同列にあった日本酒が、なぜわたしのなかで特別な存在へと変わったのか?

 

■木戸泉酒造 AFS(アフス)

キッカケは、「日本酒が好きですけど、何を飲んだらよいのか分かりません」そう言うわたしに

十四代でも醸し人九平次でもなく、地元の千歳鶴が醸す「雪ふるる」でもなく、とあるお店で勧められてAFSを飲んだことでしょう。

afs引用:47CLUB

千葉の木戸泉酒造が醸すAFS(アフス)は、平成13年から造られている純米酒。日本酒というよりは白ワイン。甘くて酸っぱくてまろやかなお菓子を口にしたような、誰もが仰天するほどの味わいです。

公式ブログによれば、その変わった名前の由来は、3人の人物のイニシャルによるそう。

  • A:安達源右衛門…新潟県住乃井酒造の先々代社長
    F:古川董…千葉県醸造試験場初代所長 当時の木戸泉技術顧問
    S:荘司勇…木戸泉酒造先代社長

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『日本酒がこんなに自由なんだから、私だって日本酒を語っても良いんだ!』

「知識人や中高年の方々が難しい顔をして飲むお酒」という固定概念から解放された瞬間、あの衝撃は忘れ得ません。

美味しい食やお酒に出逢った時の衝撃的な感動は、音楽や演劇との出会いと似ています。

少年がビートルズに出会ったように、少女がマイルス・デイヴィスに出会うように、人生を変えるほどのインパクトがあるものです。圧倒的なパフォーマンスに、今までの知識を総動員しても表現できなくて、立ちすくみ魅了されるのです。

でも、芸術と食とが違うのは、多くの人が自らの味覚に絶対的な確信が持てないから。案内してくれる人や店の信用値によるところが大きいのです。

体験したことのない味は、気付けないし表現できない。いりこ出汁の味が分からなければ「鰹とはなんか違うな〜?なんだろう」と思えてせいぜいでしょう。目の前にあるものと比較できる基準を持つ―それってある意味、オトナの食育とでも言いましょうか。

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という事は、「食育の先生」を探す事こそが、何よりの早道。

日本酒特集誌を片手に、有名銘柄を端から飲むのも良いですが、酒屋や飲食店のプロに会って相談すればいつか、自分で思いもよらなかった「食と酒」との運命的な出逢いがありますよ。

オトナなら、師匠のように厳しく、時に親のように温かく指南してくれる、そんな飲食店を1軒持っておきたいものですね。

 

友美

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ライター プロフィール

日本酒ライター 友美

関友美

日本酒ライター/コラムニスト/唎酒師/フリーランス女将/蔵人
「とっておきの1本をみつける感動を多くの人に」という想いのもと、日本酒の魅力を発信するさまざまな活動をおこなっています。 全国の酒蔵を巡り取材をしWebや雑誌への記事執筆、カルチャースクールのセミナーや講演、酒蔵での酒づくり、各地の酒場での女将業など、場所と手段を超えて日本酒のおいしさと、地域文化の魅力を伝えています。北海道出身。東京と兵庫の二拠点生活中。
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