戦国武将「加藤清正公」ゆかりの酒蔵 冨士酒造「榮光冨士」にお話を聞きました!
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冨士酒造はあの豊臣秀吉に仕えた大名・加藤清正公ゆかりの酒蔵です。熊本城の築城でも有名な加藤清正公は肥後・熊本藩の初代藩主。清正公の死後、徳川幕府によって二代目の忠廣公は一族や家臣ごと、それまでの二十万石から一万石の丸岡領(現代の山形県鶴岡市)に配流されてしまいました。
忠廣公はこの地で一男一女を授かり一生を終えたとされていますが、現在の冨士酒造の当主は、この一女をゆかりとしています。
年間30種類もの「榮光冨士」が造られている
冨士酒造は四季醸造(一年通して酒を造る)で、小仕込みで30種類ほどの銘柄を造りますが、その全てを杜氏の加藤宏大さんが管理しています。
米の旨味を十分に引き出すために、その都度、醪(もろみ)の中から最適な酒質を決定
していくので、毎年ごく一部を除いて銘柄は酒質に合せて変わります(一般的に、毎年同じ酒質のお酒を造って同じ銘柄で販売するので、毎年違う酒質のお酒を造って銘柄を固定しないのはめずらしいです)。しかも、冨士酒造さんはその全ての銘柄を一年でほぼ売り切ってしまいます。
榮光冨士のラベルデザインは日本酒業界一の華やかさ
榮光冨士といえば、そのラベルデザインを思い浮かべる人は多と思います。飲んだことが無い人でもジャケ買いしてもらおうと、狙って斬新なラベルを作っているとのこと。しかもデザインは外注ではなく、社内スタッフがしているとのことです。
実は最近の榮光冨士と7年前の榮光冨士は酒質が全く違う
2010年、榮光冨士は大きな酒質の改革を行いました。想像以上の売り上げ減がきっかけだといいます。そこから東京で今の時代にウケている酒を研究し、ラベルでも目立とうとデザインも一新して今の榮光冨士が誕生しました。
売り上げを大幅に回復するどころか、今では年間アイテムがほぼ売り切れるほど、お客様に支持されています。そんな新しい榮光冨士の目指す所は、「きれいで 飲み飽きせず お食事に合うお酒」。まさに今の榮光冨士を表すのにピッタリな言葉です。
榮光冨士は無濾過生原酒
無濾過生原酒とは、
無濾過=原酒と酒粕に分けた状態から、濾過(ろか)して色を透明にする作業を行わない。
生=加熱殺菌処理(火入れ)を行わない。
原酒=アルコール度数を下げるための水を加えていない。
つまり、搾りたての牛乳と同じフレッシュなお酒のことです。
冨士酒造さんでは、「搾ったそのままのフレッシュで輝くような味わいの新酒を、月替わりでお客様へまっすぐにお届けしたいという想い」から、無濾過生原酒のお酒をメインに製造しています。ちなみに現在は、生酛や山廃のお酒を造る予定はないそうです。
冨士酒造のある山形県のお酒の特徴
山形県は炭濾過の炭の使用量が日本でダントツに少ないそうです。この炭は搾りたてのお酒を濾過するために使うのですが、濾過をほとんどしないということは、それだけできたての味のバランスに自信がある蔵が多いといえます。無濾過生原酒のお酒を造る冨士酒造さんは、山形の酒造りに沿った蔵元なのです。
【冨士酒造】
http://www.e-sakenom.com/
創業 1778年
産地 山形県鶴岡市
製造石数 非公開
スタッフ 正社員6名 パート10
製造しているお酒の比率
純米62%、吟醸5%、他本醸造と普通酒