金賞受賞の「箱根山」と小田原の老舗かまぼこで神奈川を味わいつくす
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うまい酒あるところにうまい水あり、日本酒好きな方なら納得できるこの文句。それもそのはず、日本酒の主原料は米の次に水が全成分の約80%も占めていると言われています。
忘れもしない私の受験したワインエキスパートの教本の日本酒の項目で「水について」がおおよそ1ページにわたって説明されていました。
そこで今回は、日本酒に欠かせない良質な水である丹沢の伏流水と、箱根の冷涼な気候が生みだした素晴らしい日本酒をご紹介します。
平成18年度全国新酒鑑評会で金賞を受賞された井上酒造さんの「箱根山」。その出会いは何と小田原かまぼこ発祥の店「うろこき」さんからでした。
江戸時代から沿岸漁業も盛んだった小田原は、その豊富な漁獲量を活かし、独自のかまぼこづくりを生みだしました。
現在は小田原のかまぼこの老舗店が集まり、旧東海道にかまぼこ通りを発足されています。そしてかまぼこには何といっても日本酒!現在はかまぼこ通りで日本酒のイベントも盛んに行われています。
その中でも老舗中の老舗である「うろこき」さんで、かまぼこと伊達巻を味わいたい!と伊豆の自宅から小田原へ向かいました。
「うろこき」さんは創業天明元年という、まさにかまぼこ発祥の店。囲炉裏風の店内では神奈川地酒の飲み比べとともに、うろこきのかまぼこを味わえるというのでこれは行くべし!即決でした。
そこで味わったのはすべて神奈川の地酒。そしてかまぼこにかかせない板わさは「うろこき」さんの逸品。足踏粕といわれる手作りの酒粕と伊豆天城のわさびを使用しています。辛味がピりっとクリーミーで日本酒に合わないわけがない!
そしていよいよ日本酒を口に含んだその瞬間、キラリと光りをはなった味わいの酒がありました。
その酒が井上酒造さんの「箱根山」だったのです。45%精白の山田錦を100%使用した、膨らみのある味と上品な香りが調和した純米大吟醸酒。
まさにその通りで口に含むと、なんともいえないしっとりとしたまろやかな感触が伝わってきました。次第にコクが深まり、後味はビターでありつつフルーティーな余韻が残るのです。コクがあるのにスッキリとしている!良質な水はこうも素晴らしい酒を生みだすのかと感動しました。
これは家で飲みたい!そう思い早速、お酒友達を呼ぶことに。つまみはもちろん小田原のかまぼこと伊達巻、そしてわさび漬けです。伊達巻のしっとりとした甘みは日本酒の甘みに完璧にマッチします。かまぼこはワインのオードブルとしても定着しつつあり、オードブルかまぼこは鈴廣さんがお得意のようです。今宵もお酒お友達さんに共有して頂けて感謝でした。
そして「箱根山」を頂いてふと思いました。うまい酒あるところに良質な水ありといったほうがいいかもしれません。冷たい空気が生み出す自然の水。自宅から見える箱根の山はまだ雪が残ります。
富士山も春霞がまだ恋しいようです。