三軒茶屋の鈴しろ。
掲載
鈴しろは三軒茶屋駅から少し外れたエリアにあります。ガラガラと扉を開けるとすぐ目の前に長いカウンターが見渡せます。わずか8席だけのこじんまりとしたお店ながら、落ち着きのある大人の空間が広がります。
まだ若い大将は学芸大学の名店「件(くだん)」で修行後、2014年に三軒茶屋で開業、一人でお店を切り盛りしています。お一人で大変ではないですか、と尋ねると「狭い店なんで1人で十分ですよ」とやや謙遜しながらも仕事に対するプライドが感じられる口調で答えてくれました。
お通しは七草がゆ。訪れたこの日は1/7でした。やさしいだしで作られた七草がゆは胃にスッと入り、身体が温まります。季節ものをしっかりと抑えてくれるお店はありがたいです。
日本酒は卓上のメニューにもたくさん銘柄が載っていますが、好みを伝えれば大将が用意してくれます。料金は1合ちょっと入って850円。おちょこは好きなものをチョイス。重厚感のある能作の酒器に入れられて持ってきてくれました。
肴は黒板に書かれているおすすめメニューからチョイス。
京にんじんの白和え。京にんじんは、その柔らかい甘みと独特な風味、食感がとてもよく、にんじん界の超優等生といえます。その上にかかった白和えもやさしくにんじんを引き立て、さらに白ごまの香ばしい風味をプラスした絶品の一品となっています。カウンターから眺める丁寧な仕事ぶりは、しっかりと料理にも反映されています。
二品めは炙りしめ鯖の菊花おろし。鯖はしめすぎておらず、脂がのっていて質のいいものを仕入れています。また色鮮やかな菊花おろしを添えるセンスもポイントが高いです。また料理を出すタイミングなど気配りもしっかりと行き届いています。
京生麩の田楽はよもぎと黒ごまの2種。もっちりとした食感とみその相性がよく、酒がすすみます。
その他にも焼き物や揚げ物など日本酒がすすむ逸品がずらり。肉料理やごはんものもあるのでいろいろ楽しめそう。また、がっつり食べたい人はおすすめコースをチョイスするのもあり。
三軒茶屋には日本酒のおいしいお店がいくつもありますが、こちらのお店は他のお店にはない空間作りやメニューを展開しています。また豊富に揃えている美酒や肴もさることながらお店の流れる空気、大将のフワッとした人柄は訪れる全ての人を魅了することでしょう。落ち着いた空間でしっぽりと呑みたいときは鈴しろの扉を開けることをおすすめします。
地図