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茶と日本酒の会【茶と米の淡味求新】で体感、茶と日本酒の新しい可能性!

掲載

6月某日、WBSなどでも放送され、注目を集めるWAKAZE三軒茶屋醸造所にて、異色のイベントが開催されました!
きっかけは筆者に中国茶、台湾茶の魅力を教えてくださったThe Tea Companyの茶師、田島氏からのイベント通知。
各種茶葉の中でも希少かつ高級な「白茶」と、その白茶を使用したお酒のコラボイベント。
酒と茶に酔いつつ、古くから愛される「茶」と「酒」、さらに「新しい日本酒」について考えを巡らすまたとない会となりました。
レポートでご紹介します!

開催概要
主催:WAKAZE三軒茶屋醸造所
:The Tea Company田島氏
会場:WAKAZE三軒茶屋醸造所
日時:2019/6/15
概要:丹念に作り上げた生酛と、国産厳選茶葉の白茶を合わせ、今までにない【淡味】を表現した【FONIA TEA prototype~白茶~】と、白茶を飲み比べ、酒とお茶の融合した新世界を体感するイベント。

イベントのきっかけと「白茶を使ったボタニカルSAKE」とは?


ずらりと並ぶボタニカルSAKEの数々

【FONIA TEA prototype~白茶~】画像ではうまく見えませんが、ほんのり桜色に発色しています

「白茶」を含め馴染みのない単語が多く出ていますため少しずつまとめました。
まずはきっかけとなった【FONIA TEA prototype~白茶~】という「ボタニカルSAKE」!
「ボタニカルSAKE」とは、伝統的な日本酒の製法に準じつつも、米の発酵中に和のボタニカル素材(植物由来成分の意)を加え、味や香りを調和させることで、日本酒の可能性をより広げる「新たな日本酒」(原料と酒税法の関係上「その他の醸造酒」として扱われます。)とも呼ばれ経済番組WBSでも取り上げられる程話題になったもの。
日本酒に後からリキュールや原料を加えたり、香料で香りづけしたりするお酒とは一線を画しています。


経緯を説明するThe Tea Company 茶師田島氏とWAKAZE三軒茶屋醸造所 醸造責任者今井氏

WAKAZE醸造責任者、今井氏はThe Tea Companyの田島氏を通して、同社で開催される「ティーペアリング」、いただいた【白茶】、さらに「茶の世界」や五味には含まれない白茶にも見られる【淡味】に刺激を受けて今回のお酒を作られたとのこと。
同じようにボタニカル素材を発酵することで作られ、心身に効果を催し、文化風習として根付くなど共通事項も多い、「酒」と「茶」について今一度考えるきっかけにもなったとのことでした。
【淡味】は、甘い、酸っぱいなどの五味には含まれておらず、
淡いのに豊かな風味を非常に表現するのが難しかったそう。
乳酸菌発酵である生酛造りと、穏やかな香りと味が出るとされる協会6号酵母、その後半に宮崎県の在来種百年古樹の白茶を合わせていく、タイミングの妙で表現を可能にしたとのこと。
注ぐと、「理由は実ははっきりはしていない」という、淡い桜色と
スッキリした生酛の酸味、何より使用された白茶と同じ風味がしっかりと感じられました。

圧巻の白茶ティーペアリングと酒の体感。


茶葉一つ一つの様子まで紹介。豊かな香りを楽しめる台湾式の茶器を使用


白茶、酒、カマンベールチーズにてペアリング

イベントでは、経緯の説明があった後、田島氏がそれぞれ異なった特性を持つ下記の白茶4種を、台湾茶の様式(飲むための茶碗と別に、聞香杯という香りを聞く専門の杯を使用)で入れてくださいました。
田島氏は幾度も茶会やティーペアリングを行われており、軽快かつ分かりやすい文言で、普段馴染みのない中国茶や、お茶の生産地の様子などを語ってくださいます。
茶の香りを思う存分に味わうことができる聞香杯に鼻を入れつつ、参加者も興味津々で聞き入っていました。
白茶の良い香りや味に「茶酔い」と呼ばれる、ふわっとしたリラックス状況になる方も多数見受けられました。
白茶とカマンベールチーズ、【FONIA TEA prototype~白茶~】ともペアリングを行い、味わいの差や、同じ茶葉を「酒」と「茶」両方から体感する貴重な経験となりました。

雪芽白茶(福建省):白茶の中でも代表的かつ最高級ランクのもので、白豪銀針(英名:シルバーニードル)とも呼ばれる希少な茶葉。
白い産毛に覆われた芽の部分だけが使用されている。
今回酒に使用された宮崎の百年古樹と大きく風味が異なり、藁のような香りと清々しさが独特。

②自然栽培の八百年古樹白茶(雲南省、雲南大葉種):月光白と呼ばれる美しい艶のある茶葉1つ目に対し、香りに甘みと華やかさがあり、喉奥で花のような風味を感じる白茶。

③自然栽培の百年古樹白茶の餅茶(雲南省):焼き菓子のようにも感じられる、甘さのある香り。味はミネラル分を感じる、今回の中では最もボディがしっかり感じられる味。個人的にはカマンベールチーズとの相性は最もよかったと感じました。

④宮崎県の在来種百年古樹:今回お酒に実際に使用された茶葉。
甘みは②③より少し控えめですが華のある香りと、清々しい風味で、とてもバランスが良く感じました。

参加者は普段楽しめないペアリング、貴重なお茶をじっくりと比較して味わいつつ、茶葉のお話や酒についてお伺いすることができました。
今井氏からは、「年内にはフランスで新たに作っている醸造所に行くため、また茶葉も安定的に生産されているものではないため、今しかできないお酒でありイベントであった」というお話もあり、フランスで醸造する予定のお酒についても話題に。
フランスではフランスの原料にて清酒区分(フレンチSAKE)となる、米だけのお酒を醸造予定とのことでした。
フランスの醸造所については現在クラウドファンディングも実施されており、参加者の中には「早速参加します!」という方も。
今井氏や田島氏に直接質問する参加者も多く、イベント終了後も盛り上がりを見せていました。


WAKAZE三軒茶屋醸造所の醸造タンク。街中の小さな醸造所で新たな酒は醸されている

そもそも「WAKAZE」と「今井氏」そして「白茶」とは?

「ボタニカルSAKE」を生み出したWAKAZEは歴史ある日本酒の酒蔵とは異なります。
2016年に同社を独立起業された稲川社長は、慶應義塾大学理工学研究科に学び、前職はビジネスマンなら誰もが知るボストンコンサルティング・グループの経営戦略コンサルタント・・・
起業されたWAKAZEでは日本酒を世界に広めることを目指されているとのこと。

そんなWAKAZEと「ボタニカルSAKE」にとって欠かせないのが、
醸造責任者であり、創業にも携わっておられる杜氏の今井氏の存在。
ご両親どちらのご実家も酒蔵で、ご兄弟に至るまで醸造一家。
さらには新政をはじめとした全国の有名酒造で修行をされた方です。
(ちなみに今井氏のご出身大学は東大。新政社長をはじめ、「東大」に関係される日本酒業界の方のニュースを拝見することがちらほら。「面白い」モノを作り出す頭脳はやはり鍛え抜かれたものなのだなと思う次第です)


白く艶のある白茶の茶葉

「白茶」は、主に中国で生産されています。
茶葉の中でも浅めの発酵段階で乾燥される、特有の技法で作られています。
この製法により、甘い独特の香りが生まれ、刺激となるポリフェノール等が酸化しまろやかな口当たりが特徴です。
イベントにも取り上げられている通り、日本茶や紅茶のように濃い味ではなく、
淡いのに風味豊かな【淡味】が魅力のお茶です。

まとめ

日本酒のイベントとお茶のイベントは、通常全く別物として開催されるもの。
今回のように同じ素材を使っているものを飲み比べ、
その背景を両方じっくり聞き、味わう機会というのはかなり貴重であると感じました。
杜氏が改めて日本酒について考えるきっかけになった、というお茶の世界も、
またその影響を受けて新たに作られたお酒も大変に興味深いものでした。

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ライター プロフィール

蒼蓮

蒼蓮

日本酒唎酒師、薬膳コーディネーター資格を持つ会社員兼webライター
子供を寝かしつけた後には、日本酒と仕込んだつまみを取り出しパソコンに向かう酒好きママライター。
好きなものは日本酒・台湾茶・ショコラ。
ハイクラスの宝石や食、スイーツ関係の業務経験から、話題の料理やスイーツと日本酒のマリアージュ情報に目がない。

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