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ほぼお米を磨かずに造るお酒の魅力とは

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日本酒は使用する原料や
精米歩合(どれだけお米を磨いたか)
によって特定名称別(純米や純米大吟醸)などに分類されています。
今回はその精米歩合について触れたいと思います。

さて、日本酒は大吟醸クラスになると50%以上お米を磨いた(削った)ことになるため
当然のことながら、30%しか磨いていない純米酒よりも値段が高くなります。
よくお酒は米を磨いた方が美味しいなどと言われてますが、そんな事はありません。

高精米=美味しい
の方程式は、必ずしも成立するわけではないのです。
あくまでも飲み手のお酒の飲み方やシュチュエーションでその場にふさわしいお酒は変わってきます。

そこで、今回ご紹介するのがこちらの銘柄。

ほぼお米を磨かずに造るお酒の魅力とは

広島の三宅本店さんが造るお酒で左から
千福 神力 生酛純米 無濾過原酒85
呉鶴 神力 生酛純米 無濾過88

精米歩合が85%と88%のお酒です。
削ったのはわずか15%と12%とどちらもほとんどお米を磨いていないお酒です。
実際に僕らが日頃から食べている白米が精米歩合88〜92%くらいなので、ほぼ変わらないわけです。

近年メディアなどでも取り上げている低精米日本酒ですが磨かない分、コスト抑えられるためチャレンジする蔵が増えています。

ただし、この低精米日本酒を造ることは非常に難しいと言われています。
少し専門的なお話になりますが
お米は磨くことで一般的には綺麗な酒質に仕上がります。

醸造過程において、磨いたお米の方が溶けやすく糖化性に優れるので、もろみ(日本酒になる前の段階)の中が濃糖になり雑菌が発生しにくい環境になります。
また、じっくり低温発酵させるので、吟醸酒特有の吟醸香も出て、仕上がりは雑味がなく、口当たりが柔らかく、華やかな香りのお酒に仕上がるのです。

逆に低精米で造る場合、お米のタンパク質や脂質の影響で味が多くなり、雑味になる場合もあります。
お米の粒も大きく、お米が溶けきらない事もあり、お米がちゃんと溶けなきゃ味も出ません。
糖化性も弱く、雑菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。
このことから、高精米日本酒の造りの方が失敗のリスクが少なく安全だったりします。

ですが、最近ではお米の生産者側の技術が飛躍的に進歩して、無農薬や有機栽培などを用いて、雑味の元となるタンパク質や脂質含有量が少なく、酒造りにおいて上質なお米がたくさん栽培されるようになりました。

つまり低精米でも美味しいお酒を造れるお米が増えたんです。
もちろん低精米で造る事に高い技術力が必要な事には変わりありませんが、
米を磨かずに、味を磨けるようになってきていることは事実です。

しかし、一般的にはまだまだ米を磨く事が良いとする風潮が蔓延しています。
このままでは、コストがかかる分お酒の値段は高いままです。
消費者にとっては、安くて美味しいお酒の方が良いのですから、なるべくコストをかけずに造ったほうが消費量は増えるのではないかと思っています。

さて、先ほどのお酒の話に戻します。

今回ご紹介した 「千福 神力 無濾過原酒85」
は非常に旨味があって、酸もあり、いろいろな飲み方の出来る優れたお酒でした。

常温でもロックでも、お燗にするなら1割水を加えて熱々に温めてから燗冷ましで飲むと抜群に美味しく飲めます。

もう1つの 「呉鶴 神力 無濾過88」
はまだまだ渋さがあり、酸が非常に強く、味のバランスを取るために熟成させて、旨味がもっとでてきたら飲み頃になるものでした。

因みに「呉鶴 神力 無濾過88」
は明治時代と同じ造りを再現したものだそうですが、日本酒って本来寝かせて良くなるもの。
高精米技術がなかった江戸時代では、9年古酒が高級酒として扱われていましたが、やはり低精米のお酒なら寝かせたほうが美味しくなるのではないかと思います。

実際、三宅本店さんでも貯蔵中との事なので数年後が楽しみです。

日本酒のカタチって何が正しいかは人によってそれぞれですが、たくさんお米を磨いたお酒が1番と決めつける前に、こういったお酒も飲んで頂く事でより日本酒の楽しみ方が増えると思います。

また、タンパク質や脂質から生まれる味の成分は、多すぎれば雑味と捉えられてしまう場合もありますが、多少は必要な存在です。
ただ綺麗な味わいだけでは物足りないですし、それがお酒の個性にもなります。
磨いてない分、値段もリーズナブルになりますので

是非、低精白のお酒も楽しんでみてはいかがですか?

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ライター プロフィール

大森 運大

大森 運大(おおもり かずひろ)

唎酒師、焼酎唎酒師。お燗番としてお燗の付け方や料理とお酒のペアリング、自家熟成などにこだわり、凝り固まりすぎた日本酒の嗜みの幅をより広げるために日々奮闘中。現在は、『ガラリ 青山本店』に勤務。

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