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『第9回雄町サミット』イベントレポート

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皆さんは日本酒を醸造する原料となる酒米をご存知でしょうか?その酒米の中でも「山田錦」はとても知名度が高く、日本酒を嗜まなくても耳にしたことがある方は多いでしょう。しかし酒米はよく見る数種類のみならず、実は100種類を超える品種があるのです。その中でもずっと日本酒に使用され続けるもの、新しく品種改良されて生まれたもの、そして途絶えていく品種もあり、その歴史は様々です。

日本酒好きならば聞いたこともある方も多い酒米「雄町」。今は大人気ですが、「雄町」はかつて生産が途絶えそうになり、幻の米とも呼ばれた品種でした。

その復活を象徴するイベントでもある『雄町サミット』の第9回目が8月8日、東京の飯田橋にあるホテルグランドパレスで開催されました。

岡山県の雄町にこだわり抜いた『雄町サミット』

『雄町サミット』は平成20年に始まった鑑評会型のイベントで、日本中から岡山県産の雄町を使った市販の日本酒が集められて行われています。主催である全国農業協同組合岡山県本部では雄町の普及を目指して、毎回試行錯誤を重ねてイベントに取り組んでいます。

本年度は昨年と会場を変えて広いスペースを利用し、開催内容も第1部では酒類業界関係者限定の唎き酒会と日本酒の専門家による審査講評会第2部では受賞蔵の表彰と食事付の懇親会、とより多くの人が雄町の日本酒を吟味することができて、米の味わいを愉しめるような内容で開催されました。

会場には岡山県から雄町の生産者である農家の方と蔵元、岡山県の雄町を使用する全国の蔵元、そして雄町を愛する消費者(オマチストとも呼ばれています)が集結しました。

懇親会では岡山県特産の葡萄「ピオーネ」と「アレキサンドリア」も登場。

この日、登壇した一人である市田真紀さんは岡山県在住で雄町にも造詣が深い日本酒学講師。雄町の日本酒とフルーツの相性について「雄町のお酒はフルーティーなものもあるし味がどっしりしたものもありますが、フルーティーなタイプだと瑞々しい果物と相性が良く、旨みの乗りや丸み、熟成感があるものには、フレッシュなフルーツよりもドライフルーツにして甘味をギュッと濃縮されたものに非常に合うと思います。」とコメント。

日本酒は受け継がれてきた伝統文化でもあります。その土地の特産品と合わせて美味しく愉しむこともその地方の文化を知る一端として、とても有意義で楽しい方法ではないでしょうか?

 

今回に集まった日本酒は?

 審査は吟醸酒(純米吟醸を含む)の部純米酒の部の2部に分けられています。今年は126蔵が参加し、吟醸酒の部は123点、純米酒の部は71点の日本酒が出品されました。このイベントが初開催された平成20年では吟醸酒の部は45点、純米酒の部は23点ということから見ても、このイベントや雄町の人気が年々高まっていることが感じられると思います。

受賞酒の発表!!

このイベントでは審査員による厳正な審査の上、優等賞が発表されます。

今年は吟醸の部で雄町の地元である岡山県と雄町をよく使用している山形県のお酒が同数入賞となりました。優等賞を受賞した酒蔵は登壇し、受賞コメントを発表しましたので、いくつかご紹介したいと思います。

 

受賞者のコメント紹介

㈲秀鳳酒造場 古頭慎太郎さん

「派手なタイプではないけれど、飲んだ人の心を落ち着かせような程ほどに控えめな甘みのあるお酒に仕上がっています。山形県は最近、世界に対しての輸出にも活発になってきていて、雄町を使ったお酒でもワインやシャンパンに対抗して戦っているという面があります。海外の人にも雄町で造ったお酒を楽しんでいただけるように頑張っていこうと考えています。」

結城酒造㈱ 浦里美智子さん

「(今年度の)全国新酒鑑評会においても雄町の純米大吟醸で金賞をいただくことができました。自分自身が雄町のお米が好きで、自分が鑑評会に出品するのは絶対に雄町でやろうと決めていたので、皆様にも良い報告ができて本当に良かったなと思っております。雄町にこだわる理由としては、私がお酒を造り始めた時に一番初めに使わせてもらったお米が雄町ということで想い入れもあるのですが、本当にただ自分が好きな味なので、蔵の生産量の4割が岡山県産の雄町を使わせていただいております。これからも使わせてもらって、いいお酒を造らなければと思っています。」

利守酒造㈱ 利守忠義さん

「(受賞できて)ほっとしました。9回目でこんなに大きくなり皆様に集まって頂いてよかった。雄町は先人が残した遺物ですから、我々後継者が引き継いでいかなければいけない。本当に岡山の財産だと思います。」

利守酒造は幻の米となってしまった雄町の栽培を開始し、雄町の復活に尽力してきた酒蔵です。この蔵の活躍がなければ雄町がなくなってしまっていたかもしれません。そして今は全国の酒蔵で雄町は愛され、お酒が造られているのです。その歴史を感じつつ、飲む雄町のお酒の味わいはまた格別に感じられることでしょう。

今年の受賞酒一覧

吟醸酒の部

  • 岡山 利守酒造㈱「赤磐雄町生」
  • 岡山 平喜酒造㈱「超特撰 喜平 純米大吟醸 雄町の雫」
    岡山 白菊酒造㈱「大典白菊 純米大吟醸 雄町」
  • 岡山 宮下酒造㈱「極聖 純米大吟醸 高島雄町」
  • 岡山 室町酒造㈱「櫻室町 極大吟醸 室町時代」
    山形 東北銘醸㈱「初孫 巧実 純米大吟醸酒」
  • 山形 ㈲秀鳳酒造場「秀鳳 大吟醸 奥伝」
  • 山形 出羽桜酒造㈱「出羽桜 純米吟醸 雄町」
    山形 ㈾後藤酒造店「辯天 純米大吟醸原酒 備前雄町」
  • 山形 亀の井酒造㈱「純米大吟醸 くどき上手 雄町44%」
  • 福島 山口㈴「純米吟醸 儀兵衛雄町」
  • 福島 ㈲玄葉本店「あぶくま 純米吟醸 雄町」
  • 福島 高橋庄作酒造店「会津娘 純米吟醸 雄町」
    茨城 結城酒造㈱「結ゆい 純米大吟醸」
  • 茨城 青木酒造㈱「御慶事 純米吟醸 雄町」
    群馬 龍神酒造㈱「龍神雄町A-spec」
    埼玉 松岡醸造㈱「純米大吟醸 帝松 鳳翔」
  • 埼玉 五十嵐酒造㈱「喜八郎 純米大吟醸」
  • 静岡 英君酒造㈱「純米吟醸 橙の英君」
  • 静岡 富士錦酒造㈱「富士錦 雄町 純米大吟醸」
  • 奈良 今西酒造㈱「みむろ杉 ろまんシリーズ 純米吟醸 雄町」
    広島 相原酒造㈱「純米大吟醸 雨後の月」
    愛媛 首藤酒造㈱「寿喜心 雄町 純米吟醸」
    福岡 ㈱高橋商店「繁桝 雄町純米大吟醸」
  • 佐賀 天山酒造㈱「七田 純米吟醸 雄町50」
    佐賀 松浦一酒造㈱「純米吟醸 松浦一」

 

純米酒の部 

  • 岡山 利守酒造㈱ 「赤磐雄町 特別純米」
    岡山 ㈱辻本店 「gozenshu the silence Clean Reverb」
    岡山 菊池酒造㈱ 「燦然 特別純米 雄町」
    岡山 宮下酒造㈱ 「極聖 特別純米 高島雄町」
    宮城 ㈴川敬商店 「特別純米 橘屋 雄町」
    山形 ㈾杉勇蕨岡酒造場 「生酛山卸 雄町 純米原酒 杉勇」
    山形 ㈲秀鳳酒造場 「秀鳳 特別純米 無濾過 雄町」
    茨城 結城酒造㈱ 「結ゆい 特別純米酒」
    栃木 ㈱虎屋本店「菊 スペシャルエディション 山廃」
    静岡 ㈱神沢川酒造場 「正雪 特別純米雄町」
    静岡 磯自慢酒造㈱ 「磯自慢 雄町 特別純米」
    静岡 静岡平喜酒造㈱ 「喜平 静岡蔵 純米酒 限定謹醸 雄町」
    静岡 富士錦酒造㈱ 「富士錦 特別純米 雄町」
    京都 東山酒造㈱「特別純米酒 龍口水 洛伝」
    奈良 葛城酒造㈱「百楽門 純米古酒 1992年度醸」

 
今年の『雄町サミット』は参加人数が600名を超える大盛況に終わりました。岡山県では生産者・酒蔵・日本酒関係者など多くの人が関わり、熱い想いを持って雄町を広めようと励んでいます。その功績が今日の雄町人気に繋がっていることは間違いありません。

来年はどのような取り組みがされるのか、どんなお酒に出会えるのか、今から大変楽しみなイベントです。

雄町サミットの情報はこちらから

http://home.oy.zennoh.or.jp/omachi_summit/

ライター プロフィール

日本酒ライター 三浦 環

三浦 環

秋田県出身。フリーライター・日本酒ライター・イベントプランナー。
地元秋田県の日本酒を広げる活動をはじめ日本酒イベントの開催、イベントでの酒蔵のコーディネーターも行っています。

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