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地元の米で、水で、人で、つくる酒「賀儀屋」の蔵訪問/成龍酒造(愛媛県)

掲載

 

成龍酒造(せいりょうしゅぞう)

代表銘柄:伊予賀儀屋(いよかぎや)、御代栄(みよさかえ)

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愛媛県西条市・豊富な幸に囲まれた成龍酒造

  • 蔵がある西条市は、愛媛県のなかでも南に位置をし、「うちぬき」がある水の都として有名な場所。
  • 地面にパイプを打ち込めば、日本名水百選にも選ばれた石鎚山の伏流水が吹き出すことからこの土地の水は、”打ち抜き水”と呼ばれています。それも、扇状地であるために、たとえ四国全体で渇水状態でもうちぬきだけは枯れない、と言われるほど心強い、地元の方にとって無くてはならない大切な資源なのです。
  • 街にある産直市場に行けば、水槽に踊る魚の数々や海藻、特産のみかんやレモン等のフルーツ、ぎんなんや大根などの野菜からお米にいたるまで、無いものはないんじゃないかと思えるほどの品揃え。全てが、うちぬきを使って地元の農家さんが作ったものなのです。
  • そんな土地で最高の食中酒を目指し、酒造りをするのが今回ご紹介する成龍酒造です。

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明治10年創業の成龍酒造。

 

手作業で大切におこなわれる洗米、浸漬

訪れた日の午後は、愛媛県産の松山三井50%磨き、全300kgの洗米・浸漬の日。

10kgごとに機械を使って、手作業で洗った後、内部まで水を吸わせるよう浸漬します。浸漬時間は、その日の気温や米の状態によるため、織田杜氏が確認しながら判断し、ストップウォッチを使用して正確に管理しています。

洗米

地元の米で、水で、人で、つくる酒。

使用米のほとんどは、地元食用米の松山三井。
それ以外も、県産のしずく媛、ヒノヒカリを使うなどとにかく地元にこだわります。流通が発達した現在は、全国どこからでも原料が取り寄せられる時代になっています。兵庫県産山田錦をはじめ有名酒米を仕入れする蔵も多い中で、地元の食用米を使用する理由を尋ねると「だって地元にいいお米を作る人がいて、それを使わない理由はないじゃないですか。ただそれだけです。」とあっけらかんと答えるのは、専務であり次期社長の首藤英友(すとうひでとも)さんです。

酒造りに携わるのは、杜氏の織田(おりた)さん、前出の英友さんと、彼の弟である敏孝(としたか)さん、それから近藤さんの4名。
織田杜氏と敏孝さんは東京農大の醸造学部卒業。英友さんは山口県の大学を卒業後東京で就職した経験をお持ちです。みんな1度は地元を離れて暮らした経験から、客観的に見た地元の良さがよく分かっており、なにより誇りに思っていることが伝わってきます。豊かに溢れるうちぬきの名水のもと、農業の街であることにプライドを持ち、その伝統の一端を担っていることへの自負が彼らの胸にはあります。

蔵内風景

――蔵内に走るパイプに「ウチヌキ」の文字。敷地内にある井戸から汲み上げられた弱軟水。

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――作業終了、ようやくいつもの笑顔に戻る瞬間。

古民家リノベーションした直売スペース

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こちらは、最盛期に出稼ぎで大勢来ていた杜氏集団の休憩室として使っていた場所を「今は近くに住む4人で造っているから使っていなくて、せっかくなら来てくださった方にもっとゆっくり試飲をして頂く場所にしようと思って、過ごしやすいようリノベーションしちゃいました。」と現在は試飲、購入のために気軽に訪れることができるスペースとして使われています。「近郊の方の為に、と思っていたんですけど、近くに高速のインターがあるのでしまなみ海道を車で通る前に、わざわざ寄ってくださる方も多い。」のだそうです。バリアフリーを意識しているので、ご家族を連れて訪れるのも良い思い出になりそうです。
(リノベーションの模様は英友さんが綴る「酒蔵日記帳」ブログに残されています)

 

 

蔵の雰囲気や、造り手の性格が酒には自然と出るもの。嘘だと思うかもしれないけれど、たとえば酒に音楽を聞かせるブリュワリーがあるように、そこにいる人々の言葉や波長を汲み取っているのだと思えます。『優しい人の柔らかい言葉は、酒を美味しくする』日本酒には、そんなロマンがあってもいいと思いませんか。

賀儀屋は、穏やかな4人とその家族が、こだわりを押しつけずこだわり抜き、地元を愛し醸す、食事を引き立てマリアージュの大切さを教えてくれるお酒。それは一見地味かもしれないですが、飲むとホッとひと息ついて1日の終わりを感じさせ、安らぎを与えてくれる存在です。

店頭販売

 

酒造りの期間は、12月~3月中旬と、昔ながらの寒仕込み(造りの期間中、蔵の立ち入り不可)。春になれば、蔵開きが待っています(今年は2016年4月24日)。試飲あり、アートギャラリーあり、マジックやお笑いライブありの芸術祭といった様相で、地域の一大イベントのためみんなが楽しみにしている年2回のお祭りです。

この機会にぜひ、西条市の豊かさ成龍酒造の穏やかな安らぎの酒を、体感しに行ってみてはいかがですか?

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成龍酒造株式会社
〒799-1371
愛媛県西条市周布1301-1
TEL 0898-68-8566
FAX 0898-68-7103

 

 

友美

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ライター プロフィール

日本酒ライター 友美

友美

日本酒ライター/コラムニスト
飲食店向け日本酒バイヤーや日本酒BARの看板娘を経て、「とっておきの1本をみつける感動を、多くの人に」という想いから初心者向けのイベントやセミナーの主催や記事を執筆。昭和59年度生まれの5人の酒蔵跡取りが集結した信州59年醸造会、通称「59醸(ゴクジョウ)」にサポートメンバーとして参加するなど活動の幅を拡げている。
寒さに弱い北海道出身。
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